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thomas miller

ドイツの性科学者、性医学者、社会学者フォルクマー・ジーグッシュ氏へのインタビュー

世界的に著名なドイツの性科学者フォルクマー・ジーグッシュ(Volkmer Sigusch)氏が、Zeit Campus(2018.2.1.)のインタビューに応えているので、その記事を今回は紹介しよう。

 


 

記事URL:http://www.zeit.de/campus/2018/01/sexualitaet-sexualmedizin-volkmar-sigusch-interview

 


『シスジェンダー』という概念の生みの親ジーグッシュ氏

ところで、シスジェンダーという言葉を聞いたことある人もいらっしゃると思う。「出生の際に割り当てられた性と、自分の性同一性が一致している人たち」(いわゆる“普通”と言われている人たち)のことだ。

もともとこの概念は、ジーグッシュ氏が「シスセクシャル」として導入した概念。また彼は、“Neosexual Revolution”(「新・性の革命」)という概念を導入し、とりわけ20世紀後半の「性の革命」とそれを区別・比較しつつ現代以降の性現象を分析している社会学者でもある。

 

「性の革命」:ここでは世界的な広がりで起こった68年運動と関連して、性の解放、自由を求める運動。

 

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ヨーロッパ、ドイツの性科学、性についての学問

 

もともと、性についての研究(性にかかわる現象を対象にする学問・学科という意味で性科学)はアメリカではなく、ヨーロッパ、とりわけイギリス、ドイツで盛んになっていったんだ。

『夢判断』を著し、20世紀前半にかけて活躍したフロイト(1856–1939)はあまりにも有名だけど、同時代の人としてイギリスの医師ヘンリー・ハヴロック・エリス(1859-1939)やドイツの医師マグヌス・ヒルシュフェルト(1868-1935)とゆう名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれない。

彼らはお互いに連絡を取りながらそれぞれ影響を受けあっている。その後、ナチスによってこれらの著作は焚書になり、性の学問も暗黒時代を迎える。他方で、ユダヤ系の学者がアメリカに渡ることによってアメリカの性科学には多大な影響を与えている。戦後は「性の革命」に呼応して、またそれに影響を与えながらドイツでも性科学の発展がみられ、現在、世界的にその発展を牽引している学者の一人がジーグッシュ氏である。

 

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「わたしたちはポリセクシャル」-「人の数だけ、性もある」ということ

 

以下では、ジーグッシュ氏のインタビューを抄訳してみる。「人間の性」を認識したい場合、もはや今まで使用してきた概念だけでは足りない。また、生殖に重点を置かないセクシャリティは今後どうなっていくのか。種々の概念を導入し、過去・現在をみつめてきた性科学者が見据える未来は、嘘のようなリアルな世界なのだ。

 

男性女性スキームに最早自分を押し込めたくない人が増えてきているのも、「新・性の革命」(独:Neosexuelle Revolution)つまり、60年代後半からのセクシャリティの変容に属する事柄だといえます。

最近ではアジェンダーや二つの性別を揺れ動く人(リキッドジェンダー)が増えている。

トランスセクシャルの人たちを認める上で、私はシスセクシャルという言葉を導入した。

Transalpin「アルプス山脈の向こう側」、cisalpin「アルプス山脈のこちら側の」という言葉がある。じゃぁ、生殖器に対してそのあちら側とこちら側ということも言えるだろうと。シスセクシャルがあるなら、トランスセクシャルもあってしかるべきで、これら二つはまったく普通の事態ということです。

 

つまり、「人の数だけ、性もある」ということです。ある人の性の全体は他の人のそれと同一ではありません。全く固有のもので、指紋のようなものです。

原則的に、私たちみんな、全ての性のかたちを実践しうるわけです、ヘテロ、ゲイ、バイセクシャルなど。わたしたちはポリセクシャルだといえます。

 

今後わたしたちのセクシャリティがどこに向かうのかということについて、学者は応えることができません。ポリアモリー(注:一対一関係ではない、複数人による性・恋愛関係)は増えていくだろうと思います。

これは数年前から西欧諸国では、人里離れた村などで試されてはいます。人間、ますます年を取ってくると手に入れられるものはかこっておきたい。そこでポリアモリーが起こる。

例えば、老夫婦が若い愛人(たち)を家に引き入れて、性生活をそれによって再び活性化させるのです。しかし、こうしたポリアモリーはまだまったくまれですが。また、驚きましたが、コロンビアで男性三人が結婚したという話を去年6月に聞きました。このようなこともそのうち、20~30年後には普通のことになってくるんだと思います。

 

ただ、新・性の革命はポリアモリーの広がりをもってその目的を達成するというわけではありません。インターネットセックスやロボットセックスのことを考えてみてください。ポリアモリーは始まりでしかありません。

既にセックスロボは市場に出ていて、およそ10,000ユーロ(日本円で約133万円)で、他の自慰用人形の替わりになっている。ロボット愛好(注:ロボットへの性的な愛好、Robotophile)も新たな奇抜さとして、以前は性的倒錯として呼ばれていたのにその地位を確立し出す。

そして、最終的にはますます多くの人たちがロボットと一緒に暮らすようになるでしょうね。だって、めんどくさくて、我が強くて意地の悪い人間なんかと暮らすよりよっぽど快適なんですから。

 

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結びに代えて―ドイツにおける性の学問、性の歴史

 

「ドイツ性科学の現在」はシリーズとして今後も連載していけたらよいなと思っている。なぜなら私たちに、非常に面白い視角、分析枠組み、人間・社会に対する認識を与えてくれるから。他方で、ドイツのホモセクシャルの人たちに対する処罰、差別、偏見はすさまじいものがあった。これらの歴史についても今後共有できたらよいなと思っている。

 

 



▼メモ

 

性医学(独:Sexualmedizin)

性科学(独:Sexualwissenschaft, Sexologie, Sexualforschung)

ドイツ性科学協会(独:Die Deutsche Gesellschaft für Sexualforschung)

流動化する性(リキッドジェンダー)

ポリアモリー(独:Polyamorie)

新・性の革命(独:Neosexuelle Revolution (im Spiegel und in der Zeit im Jahr 1996) nach der Sexuellen Revolution (ab 1968))

 

Die unkritische, affirmative Sexualwissenschaft betrachtet die Welt nach der Formel “1 Mann + 1 Frau (+ mindestens 1 Kind)”.  Alles, was davon abweicht, ist für sie problematisch, abnorm oder krank, also Asexualität und Agender, Transgender und Liquid Gender, Homoehe, Bisexualität, Polyamorie, Neozoophilie usw., kurzum unsere sexogenerische Entwicklung der letzten 50 Jahre. (http://www.zeit.de/zeit-wissen/2016/03/nichtwissen-volkmar-sigusch)

 

It is an interesting concidence for me that Hirschfeld should place“pictures of St. Sebastian”in the first rank of those kinds of art works in which takes special delight.

 

Photo by Joy Real on Unsplash
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Joshua Stitt on Unsplash
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