ある調査によると、LGBTの約4割が、子供の頃に性的違和感があることを、誰にも打ち明けなかったという。自分の子供や、周りの子供がLGBTだった場合、どう対応すればよいのかを考えてみた。
出典:photo-ac.com
性別に違和感があると打ち明けようと思ったのは14%
岡山大学ジェンダークリニックが、体は男性で心は女性のGID(性同一性障害)患者52人に行った調査によると、小学校の頃に、性別に違和感があると打ち明けようと思ったのは14%。このうち打ち明ける対象としては、母親60%、友人20%、担任教諭13%の順であった。
このように、LGBTの子どもにおけるカミングアウト対象者としては、母親を含めた両親が最も多いと考えられる。しかしながら、自分の子どもからいきなりカミングアウトされたら、多くの人が戸惑うであろう。では、どのように対処すれば良いのか。その問いに答えているのが、LGBTの子どもや若者の支援に取り組む遠藤まめた氏だ。
毎日新聞(2015年10月26日 25面)の取材記事の中で、高校2年生の時に、体を男性に近づける治療を受けたいと、母親に打ち明けたが、受け入れてもらえるまでに数年間かかったと自身の経験を紹介。その経験を踏まえて、子どもがLGBTであることが分かっても、①子ども自らがカミングアウトするまで、親からは促さないこと、②親に知ってほしいと思った時に話せる環境を作ること、の2点が重要だと指南している。さらに、本人がカミングアウトをする気持ちになっていなかったり、自分が苦しむ理由をきちんと理解していなかったりするケースがあることを紹介している。
子どもからカミングアウトされた時の対応とは?
では、実際に子どもからカミングアウトをされたら、どうすれば良いのか。
LGBTの家族と友人をつなぐ会の尾辻孝子理事は、〈あなたは、あなたで良いのよと子どもをしっかり受け止めてほしい〉(前掲)と提言。宝塚大看護学部の日高庸晴教授は、〈(子どもからカミングアウトされたら)たとえ場が白けたとしても、『それのどこが悪いことなの?』と言い返し、子どもには『自分らしくあればいい』と何度も伝えることが必要〉(前掲)としている。
つまり、「自己肯定感」を引き出すことが重要ということだろう。ただ、自己肯定感を育てるといっても、どうすれば良いのかわからないと思う。次回は、子どもに対する自己肯定感の育み方について紹介したい。
LGBTの子どもに対して、自己肯定感を高めることで、自身がLGBTであることを受け入れられることを紹介した。では、自己肯定感を育むにはどうすればよいのであろうか。専門家の意見によると、その鍵は「本を読み他人との相違点を認識させること」だと言えそうだ。
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本を読むことで、自他の区別ができるようになる
筆者は、本を読むことが重要と考える。本を通じて、他人と自分との相違点を学ぶことで、他人との接し方や対処策を身につけられると考えているからだ。
LGBTの子どもは、自身と他人(いわゆるストレートの人)において性自認・性的指向などで相違があることを、成長するに連れて否が応でも認識することであろう。
仮に、周りにいる他人の大半が、LGBTに対して批判的であれば、LGBTの子どもは不安になるはずだ。
そのため、繰り返しにはなるが、出来る限り、自分と意見を異にする他人に触れて、対処策を学ばせなければならない。
他人との相違点を見つけ出すうえで、ベストセラー作家の佐藤優氏の意見が参考になる。
佐藤氏は、子どもの教育において、自分の考えと人の考えを区別することは絶対に大事だとしたうえで、本を読ませることが重要と紹介。
本の読み方として、〈(本の著者に対して)基本的に賛成なのか、基本的に反対なのか、あるいはよくわからないのか。あるいはここまではわかるんだけれどもこの先は私は意見が違うとか、そういう分類をしながら読む訓練をすることが重要〉(東洋経済オンライン 2013年02月04日)と説いている。
つまり、本を読むことで、他人の意見に対する、賛成・反対や違和感を認識することができるのだ。その結果、他人との接し方や対処策を身につけられると思う。
おすすめの本とは
東京新聞(2015年11月13日 14面)で、LGBTの子どもが自己肯定感を身に付けるために必要な本を紹介しているので、ここでも紹介しておく。本の主人公が、全てLGBTであることが共通点だ。
①わたしはあかねこ(文溪堂)
兄弟の中で、毛の色が異なり異端視扱いされ。家を出た猫が、
別の世界で出会った猫から、高評価を得られ自信をつけること
②タンタンタンゴはパパふたり(ポット出版)
ペンギンの雄カップルの子育て絵本
③王さまと王さま(ポット出版)
王子さまと王子さまが結ばれるお話
参考になれれば幸いである。