「欲しかったら、追い求めない」
筆者は、作家の曽野綾子氏の見解にヒントが隠されていると考える。
曽野氏は、自分が欲しいと思うものについては、〈追い求めたら逃げていき、求めない時だけ与えられるという皮肉なものが、意外と多い〉と指摘。さらに、他人からの優しさが欲しいのであれば、〈自分が(他人を)優しくする他はない。周囲の状況や他人の優しさに敏感に気づき、感謝できる人間になる他はない〉と紹介している。
先の文章の「自分」を「LGBT」に、「他人」を「他の少数者」に、変換して再読してみよう。
ここから示唆できることは、LGBTが他の少数者と仲良く共生するためには、①手に入れたいものについて求めないこと、②感謝すること、という2点が重要だということだ。
LGBT支援などに関する啓蒙活動で、LGBT(自分)の「欲していること」を訴えるのは、とても良いことと思う。
一方で、他の少数者(他人)の「欲していること」を紹介するなど、他の少数者と共同で活動することで、他の少数者と協力することを意識してもよいと思う。それが、世の中の数々の少数者が幸せになる最短ルートなのかもしれない。
そういえば、本年11月23日に開催された、東京大行進2015では、様々な民族的・性別的少数者に対する差別撤廃を訴えるデモを行ったという。このように横のつながりが増えていくことを期待したい。