東京オリンピックから見る日本とLGBTQ+

LGBTQのスポーツ選手に関する情報を発信しているオンラインメディア「アウトスポーツ」の調べによると、カミングアウトをして東京オリンピックに出場したアスリートは、少なくとも182人に達した。

182人というのは、2012年のロンドン大会の23人、2016年のリオデジャネイロ大会の56人を大幅に上回る人数だ。英高級紙ガーディアンは、「東京オリンピックは、『レインボー・オリンピック』として賞賛されている」と大会期間中に報じた。レインボー(虹)はLGBTQの象徴である。

女子サッカー・カナダのクイン選手は、心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」、また、自らを男性・女性のどちらでもないと認識する「ノンバイナリー」として、初のメダリストとなった。

水泳の男子シンクロ高飛び込みで金メダル、男子高飛び込みで銅メダルに輝いた英国のトーマス・デーリー選手は2013年にゲイであることを公表し、2017年、米国人男性と結婚。代理母出産による息子がいる。

世界から見る日本

閉会式のエンディングで流れた曲「Chosen Family」(選ばれた家族)も、ちょっとした話題になった。

同曲は、英国育ちの日本人歌手リナ・サワヤマさんが英国の人気歌手エルトン・ジョンさんと共同制作したもので、LGBTQの人たちに捧げる歌とされている。同曲が選ばれた経緯は明らかにされていないが、共同通信は「多様性を打ち出す狙いがあった可能性がある」と報じている。

東京オリンピック・パラリンピックは「多様性と調和」を大会ビジョンに掲げている。聖火リレーの最終走者に、ハイチ人を父に持ち欧米メディアの間で人気の高い女子テニスの大坂なおみ選手を、本人の試合のスケジュールを急きょ変更してまで据えたのも、日本が多様性を尊重していることを世界にアピールする狙いがあったとみられる。

実際、大坂選手の起用を好意的に報じる海外メディアが多かった。

しかし、閉会式の選曲については、欧米先進国に比べ多様性の推進で大きく遅れをとっている日本の実態を隠すために同曲が使われたのではないかといった声も目立つ。

SNSでは、「同性婚を認めずLGBTへの差別を法律で禁止もしていない国が、Chosen Familyを流すとは驚き」「LGBTは生産性がないと平気で言う国会議員のいる国に、Chosen Familyは使って欲しくない」「皮肉が効いている」といった批判的なコメントが目立つ。

日本の実情

同性婚やそれに準ずるパートナーシップ制度が国レベルで整備されていないのは、主要7カ国(G7)の中では日本だけだ。

経済協力開発機構(OECD)が昨年公表した、加盟各国のLGBTQに関する法制度の整備状況に関する報告書でも、日本は35カ国中、トルコに次ぐワースト2位の34位となっている。

大会直前に閉会した通常国会では、LGBTQに対する差別の解消を趣旨とした法案の提出が、見送られた。

社会の構造が理由として差別発言が後を絶たず、開催国のためにオリンピック・パラリンピックが開かれているようにも思える。

今後の日本に期待をして、構造から改革されることを祈る。

 

引用・参考文献
・At least 185 out LGBTQ athletes were at the Tokyo Summer Olympics, more than triple the number in Rio(Outsports)
https://www.outsports.com/olympics/2021/7/12
/22565574/tokyo-summer-olympics-lgbtq-gay-
athletes-list

・LGBTQメダリスト過去最多でも日本の当事者たちが喜べない理由とは(yahooニュース)
https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20210810-00252580

 


日本でもカミングアウトしたい人が
できるようになりますように

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