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2018年10月27日(土)、台湾の台北市で第16回台湾同志遊行(台北LGBTプライド)が開催され、会場となった台湾総統府前広場にはおよそ13万7000人もの参加者が集い、昨年度の12万3000人を上回る過去最多記録を更新した(主催者発表)。

アジア中からLGBT当事者が集まるこのパレードは、去年に引き続き3つのルートに分かれて行進。「愛は平等」などと書かれたレインボーカラーの横断幕やうちわ、プラカードを掲げる参加者らのほか、華やかな衣装を身に着けたドラァグクイーンや悪魔に扮したキリスト教牧師などが支援者と共に街を練り歩いた。

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日本からは例年どおり東京レインボープライドがフロートを出走させ、乗車したドラァグクイーンたちが街頭を盛りあげたほか、巨大なレインボーフラッグを掲げたり、黄色いTシャツを身にまとってパレードをPR。特に着物の集団は海外の方々に受けたようで、撮影された写真はSNS上で話題に。

プライド期間中にはフォトグラファーのレスリー・キー氏による「OUT IN JAPAN」と台湾コミュニティとのコラボである「OUT IN TAIWAN」プロジェクトも展開され、LGBTを撮り下ろした写真展やオープニングパーティも催された。

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過去最高の盛り上がりを見せた台湾同志遊行(台北LGBTプライド)だが、それには前2017年5月に台湾の司法最高機関にあたる司法院大法官会議にて「同性同士での結婚を認めない民法は憲法に反する」と判決が下されたことで、「アジア初となる同性婚認可」への期待が高まったという背景がある。

この判決を受け、台湾政府は2年以内に民法を改正するか、同性婚に関する新法を制定せねばならず、法制化されなければ自動的に同性同士の結婚が認められることになるのだが、あれから1年余りが経過。現在台湾では、同性婚をめぐって不穏な動きがみられている。

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台湾では2017年12月、立法院(国会)にて国民投票や住民投票について定めた「公民投票法」改正案が可決され、国民投票実施のための条件が緩和されたために投票案の発議が相次いでいる。この一連の流れを受け、同性婚反対を掲げるキリスト教系団体が3つの国民投票案を提出。内容は次のとおりとなっている。

(1)あなたは民法の婚姻規定が一男一女の結合に限定されるべきであることに同意しますか?

(2)あなたは民法の婚姻規定以外の方法によって同じ性別のカップルの永続的共同生活にかかわる権利を保障することに賛同しますか?

(3)あなたは義務教育の段階(小中学校)で、教育省および各レベルの学校がジェンダー平等教育法※1 の規定に基づいて生徒に対してLGBT教育を実施していることに反対しますか?

上記の国民投票案が意味するところは、結婚は男女に限定すること、同性カップルには結婚とは別のパートナー法で対応すること、義務教育でLGBTについて教えるのを止めさせること。同性婚認可への大きな一歩を踏み出したばかりの台湾だが、驚くべきことにこの3つの国民投票案はすでに政府の審査を通っている。

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そこで台湾伴侶権益推動聯盟やLGBT自治体議員連盟は、LGBTの人権擁護などに向け連携を進める方針を提示。同性婚支持派はこれに対抗する3つの国民投票案を提出した。それが次のとおり。

(1)民法の婚姻の規定を改めることによって同性二人が婚姻関係を築くことを支持しますか?

(2)ジェンダー平等教育法に明記されているように、義務教育の各段階において、感情や多様性、LGBTに関する課程を盛り込んだ性別平等教育を実施し、子どもたちの性別平等意識向上を図ることを支持しますか?

(3)神聖婚姻特別法を増訂し、男女の永続的な共同生活関係をより強く保証することを支持しますか?

その結果、(3)を除いた2つの国民投票案が審査を通過。2018年11月24日に行われる統一地方選挙では、同性婚反対派の掲げる3つの質問項目と賛成派の掲げる2つの質問項目が並び、同性婚の是非とLGBTの権利をめぐる争いが繰り広げられる。

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こうした統一地方選挙を控えるなか行われた第16回台湾同志遊行(台北LGBTプライド)のテーマは、「性平攻略由你説、人人18投彩虹」(18歳になったら投票に行こう)。

パレードでは「幸せな将来に投票しよう」などと、統一地方選挙を意識した標語も数多く見られ、国内外から集まったLGBT当事者や支持者に同性婚認可への意欲をアピールした。

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間近に控える統一地方選挙だが、この結果は政策に直結。台湾当局は選挙実施から2年間、投票の結果を尊重した政策を進めなければならない。なお投票は有権者の1/4以上が集まったうえ、過半数が賛成すれば採決される流れとなっている。ここで同性婚賛成派意見が多数となれば同性婚認可への法制化も前進することとなるため、この日がアジアのLGBT史における分岐点になるといっても過言ではない。

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2008年にはアメリカ大統領選挙に際し、カリフォルニア州での同性婚を禁止するか否かの住民投票が行われた時分には、わずかに賛成が上回って採決されたケースもあるため、今回の台湾での地方統一選挙もLGBT当事者や支持者にとって油断ならない状況にある。現に、反対派は資金に物を言わせたネガティブキャンペーンを展開しているといい、アジア初となる同性婚認可への道のりは険しいとの見方も。

来る11月24日、台湾の数多くの有権者が同性婚支持を表明するよう期待したい。

 


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