日本の保守層は、同性婚を認める素地があるという意見に対して

日本の保守層は、同性婚を認める素地があるという。昨年6月の米連邦最高裁において、同性婚合法化に導いたという米国人弁護士が、朝日新聞でそう語っていた。
まずは、この弁護士(エバン・ウォルフソン氏)の見解を、以下記する。

(エバン氏は)保守的な政党が政権を担う国(引用者注:日本)こそ、同性婚を認めるべきだと説いた。

「家族の絆を大事にする保守だからこそ、結婚する自由も支持できる。ニュージーランドや英国の政権もそうだった。次は日本の番です」(朝日新聞デジタル 2016年4月18日)

「日本の保守層が、結婚する自由を支持できる」というエバン氏の見解には、正直驚いた。

保守層においては、結婚の自由(同性愛婚)について、懐疑的な意見が目立つからだ。

その保守層の代表的論客の一人である、麗澤大学教授の八木秀次氏を紹介したい。

大前提として、八木氏は、同性愛者の存在が認められ、生きやすい社会をつくることに対しては異論がないとしている。

しかしながら、同性愛婚については反対の立場を述べているのだ。

言うまでもなく子供は男女の間にしか産まれない。それゆえ婚姻は男女の関係に限られる。

また、さまざまな「性的指向」の中でも異性愛は他の指向よりも優位性を持たせなければならない。

渋谷区条例のように異性愛も他の性的指向も価値として平等となれば、婚姻制度の根幹が崩れてしまう。(産経ニュース 2016年4月18日)

「子供は男女の間にしか産まれない(から同性婚は認められない)」という意見は、一定の理があると思う。

ただ、欧米諸国の同性カップルの中では、里親制度を活用して、恵まれない(親と死別するなどした)子どもたちを、責任を持って育てている例が多いと聞く。

筆者としては、日本においても同性愛者の婚姻を認め、彼らと恵まれない子どもたちを、つなげるような制度を充実化させるなどで、同性愛カップルにも子育てに参加してもらったほうが、種の保存においても、よっぽと効果的だと思う。

あくまで筆者の個人的な所感だが、継続した議論が必要だと思う。

※画像は、麗澤大学公式WEBより

サム: LGBTのアライ(支援者)として、Flag編集部で記事執筆。前職において、様々な分野の企業・個人プロフェッショナルの広報業務(メディア露出)を支援。その経験を活かし、LGBTというテーマを、政治、経済、国際情勢、人文科学などの様々な切り口で考察、広報していきたいと考え、日々奮闘中。