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イタリア映画『天空の結婚式が2021年1月22日に公開決定。

あわせて予告編とポスタービジュアルが到着し、11月22日の”いいふうふの日”には場面写真が解禁となった。

 

予告編は、ゲイカップルがプロポーズをするシーンでスタート。

カップルのアントニオとパオロが、アントニオの両親に結婚の意志を伝えに行くところから物語が展開する。

村長を務める父ロベルトに大反対されながらも、母アンナは息子たちのために最高の結婚式を計画。

 

 

【カテゴリーの疑問】

 

ここで映画やドラマ、アニメのカテゴリーについて疑問がある。

果たして、男性同士のラブストーリーは”BL(ボーイズラブ)”にカテゴライズされるのだろうか。

そして男性同士の恋愛を好む女性を”腐女子”と呼ぶのはなぜだろうか。

 

「BL」とは男性同性愛をテーマとした女性向けの漫画や小説などを指す用語である。また、周典芳の論文では『BL は男性同性愛者のイメージを借りて、虚構のラブ・ ストーリーと性描写を楽しむ行為であるといえよう。

つまり、「BL」は本物の同性愛とは関係がなく、現実非関与なメディアのメタ消費である』と述べている。

よって、この『天空の結婚式を含めた、男性同性愛がテーマのストーリーを「BL」と称することはできないのである。

 

似た表現に「百合」がある。映画『キャロル』の予告がYouTubeに載っているが、コメント欄には「百合は美しい」とあった。

『キャロル』は女性同性愛を主に取り扱っているが、女性同性愛者のイメージを借りた、虚構のラブ・ ストーリーと性描写を楽しむ映画ではない。よって「百合」ではない。

 

 

同じように、「腐女子」は「BL」好きの女性を指すため、同性愛がテーマの映画や小説、漫画などが好きな女性を「腐女子」とは呼ばない。

しかし、男性同士の恋愛を好むことを”腐っている”というのはいかがなものだろうか。

上記の通り「BL」は男性同性愛者のイメージを借りた虚構のラブ・ ストーリーと性描写を楽しむことであるため、アダルト要素が強く、本物のラブ・ストーリーではない。

だが、異性愛でアダルト要素が強い漫画やアニメ好きの人を”腐っている”と表現しないにも関わらず、同性愛でアダルト要素が強い漫画やアニメ好きの人を”腐っている”と言うことが、まだ「同性愛はおかしいものだ」と捉えられているのではないだろうか。

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また、「ラブ・コメディ」というジャンル分けも難しい。

 

ラブ・”ストーリー”には同性愛も増えてきたが、ラブ・”コメディ”には異性愛または「オネエっぽいゲイ」が主人公であることが多い。

 

ラブ・コメディとは、欧米でいうロマンティックコメディ(romantic comedy)が非日常の特殊な状況における主人公たちの恋愛心理の機微を筋の通った物語で描くのに対して、むしろシチュエーションコメディの要素を積極的に取り込み、現実にありそうな日常の設定の一部分を極端に逸脱した状況を仮想設定したうえで、主人公の恋愛関係に焦点をあて、毎回異なった状況下で周囲を巻き込んだ事件や混乱が繰り返されるドタバタ喜劇(スラップスティックコメディ)的要素の強い作品が主流を占める。

 

日本におけるラブ・コメディはギャグ的要素の強いスラップスティックコメディやシチュエーションコメディをベースとする作品から、ギャグ・コメディ要素は少なくストーリー性の強い青春活劇をベースとする作品まで幅広く存在する。

しかし、恋愛や明るさ・ハッピーエンドという要素を含んでいるという点では共通しており、安定的に人気の定番ジャンルの一つとなっている。また、少しでもこれらの要素が含まれていればラブ・コメディの範疇に含める場合もある。

コメディ要素の強めなラブ・コメディには、パロディとの親和性も高いものもある。 

 

【本作の舞台】

 

『天空の結婚式の舞台は美しい観光地である。

映画のリード文には”特別な君と、とっておきの場所で”

 

「天空の結婚式」新場面写真

 

地名は「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」

ここは主人公アントニオの故郷として描かれ、『天空の城ラピュタ』のモデルにもなった場所である。

 

「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」の歴史は今から2500年前とも3000年前とも言われ、ローマ帝国よりも古い歴史がある。

その長い歴史の中で幾度となく地震で唯一の橋も寸断されてしまい、現在チヴィタ内に住んでる住人はほんの数名。

1本の長い橋がチヴィタに行く全てであり、橋がなければチヴィタには行けない。

また、雨風の浸食により風化が激しく、近い将来自然消滅するのではと言われ、自らを「死にゆく街」と称している。

 

美しい街であり、生まれ育った故郷で一番大切な人と結婚式を挙げられたら、どんなに嬉しいことだろう。

 

 

【映画誕生の背景】

 

イタリアで、2016年に下院議会で同性カップルの結婚に準ずる権利を認める「シビル・ユニオン」法が可決されたことを受けて、ニューヨークのオフ・ブロードウェイ(ブロードウェイの中でも比較的小さい劇場)でロングラン上演された舞台「My Big Gay Italian Wedding」を、アレッサンドロ・ジェノヴェージが映画化した本作。

 

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「シビルユニオン」は、結婚に似た(しかし結婚とは区別される)法的に承認された取り決めのことを指す。

同性パートナーシップを法的に承認するために生み出された言葉であり、国や州によって、シビル婚、シビル・パートナーシップ、登録パートナーシップ、ライフ・パートナーシップなど様々な呼び名がある。

概ね、「ドメスティック・パートナー法」が「同性パートナーにいくつかの権利を与える」ものであるのに対し、「シビルユニオン」は「男女の夫婦とほぼ同じ権利を与える(ただ結婚でないだけ)」という意味合いで使われることが多い。

 

1980年代にサンフランシスコや近隣のバークレーで「ドメスティック・パートナー」という概念や制度が生み出された。

その後、結婚の一部の権利を認めるドメスティックパートナーシップ制度を発展させ、1989年にデンマークで登録パートナーシップというシビルユニオンが世界で初めて成立した。

1990年代後半には、欧米の各地でシビルユニオンの制度が作られるようになり、2000年代以降、同性婚が実現した国々の多くは、シビルユニオンを結婚に置き換えていった。

希望すればシビルユニオンに留まることができる国もある。

 

現在、同性婚(結婚の平等)を実現しているような国々でも、一気呵成に実現したのではなく、まず同性愛者のための準婚姻制度としてシビルユニオンを認めよう、というステップを踏んだ背景には、結婚は「神が認めるもの」という神聖な意味合いが含まれるため、カトリック教徒やキリスト教原理主義者(福音派など)が同性愛者の結婚に強く反対したという事情があった。

 

一方、フランスのPACS(民事連帯協約)のように、もともとは同性カップルの法的権利を認めるためという趣旨で創設されたが、同性カップルも異性カップルも利用できるような制度設計がなされたことで、同性婚が実現した現在でも、結婚という権利も義務も発生する重い契約関係の前段階として、もう少しライトに法的なパートナーシップ関係を結べる制度として、たくさん利用されているようなシビルユニオンもある。

 

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この映画のように、

「大好きな人と結婚がしたい」という願いを「全ての人」が叶えられる国に早くなって欲しいと切に思う。

 

 

『天空の結婚式は東京・YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテほか全国で順次公開。


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