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今月1日、東京レインボープライド2016のイベントとして、シンポジウム「LGBTを切り口に今後の学校教育について考える」が開催された。

中野区区議会議員の石坂わたる氏を司会に、遠藤まめた氏(やっぱ愛ダホ!idaho-net.代表)がLGBTの子ども達をとりまく現状と課題を、土井香苗氏(国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)がLGBTの子ども達のいじめ・排除について、長野泰紀氏(渋谷区教育委員会教育センター調査研究員)が学校での支援体制について、東京都公立小学校教諭が授業実践報告を、それぞれの立場から発表した。その後、各パネラーによるパネルディスカッションがおこなわれた。

トークもパネルディスカッションも、大変密度の濃いものだったが、今回筆者が注目したのは、パネルディスカッション後の質疑応答だ。質疑応答では、会場から次のような旨の発言が複数挙がった。

 

「LGBTと教育の問題では、LGBTの子ども達ばかり取りあげられてしまい、教師のなかのLGBTにまで話が及ばないことが多いのではないか。」

 

こうした発言は、LGBT当事者の教員から出てきたものだ。私自身、LGBT当事者で高校講師をしているが、こうした「LGBT当事者の教員」という観点からの指摘は非常に重要だと考える。

「LGBTと教育」は、LGBTをめぐる議論の中でも重要なテーマの一つだ。LGBTへの差別・偏見を解消するために、LGBTの子ども達が直面するいじめ・排除や、学習指導要領の問題に向き合うことは至極重要であろう。ところが、その際に「LGBT当事者の教員」という問題が後回しにされてはいないだろうか。

「40人学級に1~2人LGBTがいる」ことを前提に議論をするのであれば、「教員が40人集まれば1~2人LGBTがいる」こともまた前提にしなければならない。LGBTの子ども達が困難を抱えているのと同様に、教員が「子ども達にゲイだと疑われたとき嘘をつくのが嫌だ」「同僚がLGBTに無理解で辛い」といった苦しみを抱えているのは想像に難くない。もちろん、全てのLGBT当事者の教員が同様の困難を抱えているとするのは早計であるが、教育という切り口でLGBTについて考える際には、こうした教員の声にも向き合うべきではないだろうか。

こうした「LGBT当事者の教員」に関して、渋谷区教育委員会の長野氏は「東京都には小、中学校で計5万人の教員がいる。その中にLGBTがおり、苦しんでいる方がいるのは知っています」という旨の回答をした。教育行政がLGBT当事者の教員の存在について言及したのは重要だろう。

今後、「LGBT当事者の教員」について議論が広がることを期待したい。

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