米国のIBM社によると、LGBT当事者であることを、カミングアウトした場合、労働生産性が15%増加するという。実際に、ゴールドマン・サックス証券・稲場弘樹氏は、LGBT当事者であることをカミングアウトした後、パフォーマンスが向上したというのだ(日経産業新聞19面(2016/1/18)を参照)。カミングアウトの実施前後の行動変化について、以下に紹介する。
カミングアウト前:
「時には嘘をついてでも周囲に悟られないようにしていた」
「自分を偽っていたので、人との繋がりが希薄に感じていた」
カミングアウト後:
「後ろから手綱を引っ張っておかないといけない」(前掲、稲場氏の上司の発言)と冗談交じりに言うほど、リーダーと現場を引っ張る存在になった
なぜ、カミングアウト後において、パフォーマンスが向上するのであろうか。
その理由について、ゴールドマン・サックスホールディングス人事部の住吉緑氏が以下のように答えている。
「LGBTを伏せて働いている人たちは、常に辻つまが合うように言動を注意しなければならず、矛盾を悟られないようにしている」
「精神的な負担は想像以上で、何も隠さずに済むようになれば、負担から解放されて最大のパフォーマンスを発揮できる」(前掲)
カミングアウトの当否は、本人が判断すべきだが、カミングアウトをしてもしなくても、LGBT当事者が働きやすい環境を整えることが重要と思う。