LGBTにおける「カムアウト」とは、今まで公にしていなかった「性的指向」や「性自認」について告白すること。「カムアウト」をしたからといって、必ずしも全員にオープンにする(自分のセクシャリティを公表する)とは限らない。であるので、カミングアウトを聞いた人は、相手を尊重する意味で他人に言いふらすこと(アウティング)をしてはならない。「カムアウト」と「カミングアウト」は同じ意味。

カミングアウト(カムアウト)/coming out

自分のセクシュアリティーを他人に打ち明け、相手との関係を(さらに)築こうとする行為のことをいう。(NPO法人LGBTの家族と友人をつなぐ会)

 

・「カミングアウトした」相手の数には個人差が大きい。
・「10人未満」が4割以上。
カミングアウトしたと答えた回答者が多かったことについて、分析を担当した国立社会保障・人口問題研究所室長の釜野さおりさんは次のように分析しています。
“今回の調査は回答者が別の当事者や支援団体などとすでにつながっていて、そこからの声かけで、アンケートに回答した可能性が高く、SNSやネットなどですでにカミングアウトしているという人が多かったのではないか。この調査の存在を知らなかったり、調査について知っていても、周囲に知られたくないため回答できなかったという人からも回答が得られれば「(カミングアウトを)だれにもしていない」という答えがもっと多くなったのではないか”(NHK LGBT当事者アンケート調査)

 

親の子どものセクシュアリティに関しての理解の重要性について
子どもと親、または曾祖父との関係性は子どもの成長過程で重要な役割を果たすと考えられています。東海大学文学部助教授の大山七穂氏によれば、”子どもにとって家庭生活の中心は親子関係にあり、親子関係がうまくいっているかどうかが家庭生活の満足度と大きくかかわっている”そうです。家庭生活の満足度をはかる指針として、子どもに対する「親の理解度」があげられる。ここで述べられている「親の理解度」とは、親の自己評価として、どの程度子どものことをりかいしているか、でなく、”こどもが評価する親の理解度”が、子どもにとっては一番影響が大きいのです。
そこで、LGBT当事者の子どもとその親の関係でも同じことがいえるでしょう。”自分のセクシュアリティについて、彼らの親がどれほど理解を示すことができるか”が、子どもの家庭生活における満足度のみならず、精神にも大きな影響を及ぼすといえるでしょう。現代の日本社会には、まだまだ色濃くLGBT当事者への差別・偏見が残っており、当事者である子供が、”周りの人間”として最も大きな影響を及ぼす存在が「親」なのです。(LGBT Youth Japan)

 

幼少期のうちは、あまり性別というものを意識することなく過ごすことが出来ますので、”人と違う”と感じる機会も少なければ、そこに深く疑問を感じることもありません。ただ、思春期を迎える頃、これは心に大きな負担としてのしかかり、周りと違うこととの葛藤に苦しみ始めます。自分自身、LGBTであることを受け入れる作業は、まだまだ成長未熟な段階において、とてもデリケートであり、傷つきやすく、その後の人生をも大きく左右してしまうほどの影響が考えられます。(LGBTカップリングパーティ~自分自身LGBTであることを受けとめる)

 

正々堂々と生きること、自信を持って行動すること、そして人生の喜びを味わうこと。一人一人が満たされなければ、良い社会は実現出来ません。
社会的マイノリティーに対して、どう社会が受け入れて行くか、どう接して行くかはこれからの大きな課題です。経済的強者はともかく、一般の人にとってカミングアウトはかなりのリスクを伴うのがまだまだ現状。世界各地で湧きおこるこのLGBTのイベントやパレードというものは、単なるメッセージとしてではなく、押し込められてきた人々の心の解放を願うムーブメントとして、理解を示していかなければなりません。
より良い生活のためには具体的な法整備をも必要とします。大胆な改革と同時に、細やかな配慮といったものを意識しながら、社会全体が足並みをそろえて行く時代になっていくことを期待せずにはいられません。日本では時間がかかるかもしれませんが、確実に前進していること事実です。(LGBTカップリングパーティ~社会に認めてもらう)

 

・思春期でカミングアウトは良いことか
米国のアリゾナ大学を中心とする研究グループは、その結果を矯正精神医学の専門誌、アメリカン・ジャーナル・オブ・オルトサイカイアトリー誌で、2014年11月に報告した。もともと性的少数者(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、LGBT)のカミングアウトは、大人であれば心理的に肯定的な影響があると分かっていた。今回は、より多感な思春期での告白の是非を検証したものだ。思春期では、学校で「いじめ」の問題があり得る。好ましくない結果をもたらすこともあり得る。このたび、米国カリフォルニア州に住む21歳から25歳までの245人の若い成人を対象に、高校でのカミングアウトに関する心理的要因の研究が行われた。調査内容は、高校でのカミングアウトの有無、LGBTを理由とする「いじめ」の有無である。
・いじめのリスクはあるが長期的に利益
その結果、高校でカミングアウトすることは「いじめ」に遭うリスクがあるものの、カミングアウトしなかった人と比べて自尊心が高く保たれ、抑うつの程度が低くなるメリットがあると分かった。長期的にはよい結果をもたらすという結果だ。この傾向は性別や人種を通じて同じ結果だった。これまで、大人は「いじめ」などの危害からLGBTの子どもを守る目的で、カミングアウトはしないようアドバイスすることが多かったようだ。この結果を見ると、それは本人にとって必ずしも最良のアドバイトは言えないようだ。(welq)

 

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