LIFE

性的少数者(LGBT)への偏見度と、LGBTの差別用語を否定するスピードの速さは正比例の関係かもしれない。例えば、ホモという単語に対して、「使ってはいけない言葉」と回答する速度が早ければ早いほど、実はホモに対する偏見度(ネガティブ度)が強いかもしれないということなのだ。

82ec94ff7d21e13382d019a22aa6bc9a_s

出典:photo-ac.com
三重大学講師の栗田季佳氏の見解

障害者という単語を、より早く「悪い言葉」と答えた人ほど、実は障害者に対する差別・偏見度合いが高いーーー。偏見や差別の起因理由などを考えるシンポジウムに登壇していた、三重大学講師の栗田季佳(くりた・ときか)氏が自身の研究結果について、こう紹介した。

つまり、ネガティブなことに対して、素早く否定する人ほど、そのネガティブなことに対して、差別・偏見度が高いということだという。

筆者は、このシンポジウムの内容をまとめたマスメディアの記事(読売新聞朝刊 2015/12/6)を読み衝撃を受けた。

LGBTへの支援者(アライ)として活動をする人の中で、LGBTの差別用語(ホモなど)に対して、素早く強調的に「それは悪い言葉です」と、発言者を窘める人が数多くいるからだ。

また、筆者自身もなんとも言えない気持ちになった。筆者自身も、LGBTへのアライと言っておきながら、LGBTの差別用語に対して「それは悪いことです」と否定するスピードが早くないとは言い切れないからだ(筆者自身はスピードを計った経験はないし、ある人もいないと思うが)。

私たちは差別に対応する柔軟性がある

b9ba2458dfa2e4624a978095cd78104c_s
柔軟性を持ち、人の心をよく知ることで、差別や偏見がなくなるという

出典:photo-ac.com

差別心や差別心は無くならないのか。そんな、悶々とした状況のなか、栗田氏が示した3つの見解が興味深かった。それは、①差別・偏見の概念は、誰しもが持ちあわせていること、②私たちは差別に対応する柔軟性があるということ、③人の心の特徴を知ること、の3点を認識することで、差別や偏見がなくなるということだ。

特に①については、人間の生存戦略上の理由だとして、〈もともと私たちには、他者よりも自分を高く評価する傾向があります。生きる上で重要な心の機能ですが、障害者を劣った存在と見る認識にもつながります。こういう心の傾向は、生き残りをかけた生物進化の結果であり、昔も今もどんな人にもあるものです。〉(前掲)と、人間にとって致し方がない心理であると意見を述べた。

そこで、②・③のように、柔軟性を持ち、人の心をよく知ることで、差別や偏見がなくなるというのだった。

自身の差別・偏見性に対して自問していた筆者は、栗田氏の3つの見解を聞いて、少し安堵感が芽生えた。

しかし、この安堵感に安堵せずに、前述の3点を踏まえて、LGBTというテーマを研究していきたいと思う。

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

LIFE

ゲイイベント・相談会のご案内

ゲイにとって自分自身を表現する場や悩みを打ち明ける場にはまだまだ十分とは言えない。 今回は、近日開催予定のイベントや相談会を紹介する。 レイ...

LIFE

同性婚ができなくて困ること。

ゲイやレズビアンだけではなく、トランスジェンダーのFtMやMtFも含め、法律上の性別が同じ2人は、日本では結婚ができない。 日本は同性どうし...

LIFE

しぶやレインボー宣言とは?

みなさんは【しぶやレインボー宣言】を知っているだろうか。 【しぶやレインボー宣言】を行うとLGBTアライ(=Ally)宣言をし、渋谷区のLG...

Bridge Lounge

App Store