2019年もLGBT映画が続々上映!
毎年LGBTや同性愛をテーマにした名作映画が多数上映されるなか、大注目の新作『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』が2019年2月2日に公開される。
『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』はニューヨークを舞台に「美しくなりたい」と願う少年ユリシーズが、教会にて行われるLGBT支援プログラム「サタデーナイト・チャーチ」への参加を通じて成長する過程で、家族の無理解や学校でのいじめなど、数々の困難に突き当たる様を描いたミュージカル映画。
作品にはトランスジェンダーの俳優が出演するなど大きな注目を集め、アメリカの批評家サイト「Rotten Tomatoes」では92%(201811月12日時点)という高評価を記録したほか、国外の映画祭で18もの賞にノミネートされ、観客賞を含めた計14冠に輝くなど、2019年度のLGBT映画のなかでも大ヒットが目されている。
またその他新作映画では、2019年の11月27日にアメリカで公開されるディズニー映画『アナと雪の女王』の続編がLGBT映画になる可能性があると一部で実しやかに囁かれているのをご存知だろうか?
ことの発端は2016年。フェミニスト活動家のアレクシス・イザベルがツイッター上で『ディズニーがエルサをレズビアンの女王にしてくれたらいいのに』と発言したことがきっかけとなり、
「#GiveElsaAGirlfriend(エルサに彼女を)」運動が開始。これについてヒロイン・エルサの声優を務めたイディナ・メンゼルが前向きな発言をしたことにより、『アナ雪』続編ではエルサがレズビアンとして登場するのではないかという見方が。
さらに、主題歌「Let It Go〜ありのままで〜」をカミングアウトのテーマと解釈する向きもあり、『アナ雪』とLGBTはもはや切っても切れない関係性に?
2017年には映画『美女と野獣』長編アニメ初となるゲイのキャラクターを登場させたディズニー。2019年に公開となる『アナ雪』続編で氷の女王・エルサがレズビアンとなりうるか、期待が高まる。
そこで今回は、LGBTの琴線に触れる古今東西の映画を90作品をまとめ!
当記事ではLGB(レズビアン、ゲイ、バイ)向けの映画内容を「レズビアン度」、「ゲイ度」の観点から五つ星で評価しつつ、あらすじを展開するほか、T(トランスジェンダー)やドラァグクイーンをテーマにした映画も網羅的に掲載する。
LGBTにおすすめな映画〜レズビアン編〜
センセーショナルなガール・ミーツ・ガール『アンダー・ハー・マウス』
L度★★★★★
中性的でユニセックスな魅力の持ち主であるトップモデルのエリカ・リンダーを主演に迎えた『アンダー・ハー・マウス』(2017年/カナダ)は、人生を変えるほどの出会いを果たした大工のダラス(エリカ)とキャリアウーマンのジャスミン(ナタリー・クリル)の恋模様を官能的に描いた映画。
ある週末の夜、バーの片隅で運命的に惹かれ合ったダラスとジャスミンだが、ジャスミンにはすでに婚約者がいて……。レズビアン度★★★★★の作品。
R-18指定の美麗官能サスペンス『お嬢さん』
L度★★★★☆
『お嬢さん』(2016/韓国)は、日本による統治が敷かれていた1930年代の韓国を舞台に、詐欺師・藤原伯爵(ハ・ジョンウ)がとある富豪一家から財産を騙し取るため策略を実行し、その顛末を描いたサスペンス。
原案となったのは「このミステリーがすごい!」で堂々の1位を獲得したサラ・ウォーターズの小説『荊の城』である。
藤原伯爵に加担するスラム育ちの少女・スッキ(キム・テリ)は「珠子」を名乗り、富豪一家の財産の相続権を所有する令嬢・秀子(キム・ミニ)のもとでメイドとして働きだす。何も知らない秀子は珠子の献身的な様子に心を開きはじめ、珠子もまた騙さねばならないはずの秀子に惹かれてゆく。
女性同士の過激なラブシーンが話題となり、韓国のみならず日本でも話題となった作品。レズビアン度は★★★★☆。
本当にあったレズビアンの愛憎劇『百合子、ダスヴィダーニヤ』
L度★★★★★
『百合子、ダスヴィダーニヤ』(2011年/日本)は大正から昭和の日本を舞台に、「女を愛する女」であることを公言する翻訳家の湯浅芳子と作家の宮本百合子による7年間もの共同生活と同性愛、そして百合子の夫である荒木茂との異性愛が錯綜する愛憎劇を描いた伝記映画。
ロシア語を学びつつ雑誌編集をしていた湯浅芳子(菜葉菜)は、先輩作家・野上弥生子(洞口依子)からの紹介で、天才少女と謳われた小説家・中條百合子(一十三十一)と巡りあう。
百合子には15歳年の離れた古代ペルシア語研究者の夫・荒木茂(大杉漣)がいるが、芳子と出会って5年後には結婚生活に行き詰まる。次第に惹かれあう芳子と百合子だったが、芳子は「私は、男が女に惚れるように、女に惚れる」と公言。ふたりの関係に危機感を覚えた荒木を交え、3人の愛憎劇が幕を開ける。レズビアン度は★★★★★。
リアルすぎる思春期を描く『水の中のつぼみ』
L度★★☆☆☆
女性監督セリーヌ・シアマが自身の体験をもとにメガホンを撮った『水の中のつぼみ』(2007/フランス)は、思春期の少年少女の心象をリアルに描いたストーリー。
シンクロナイズドスイミングの大会で美少女フロリアーヌ(アデル・エネル)に恋した15歳のマリー(ポーリーヌ・アキュアール)は、フロリアーヌに近づくため同じスイミングスクールに通い始める。やがてマリーは高慢なフロリアーヌからとある秘密の願いを打ち明けられ……。レズビアン度は★★☆☆☆。
ノンケがレズビアンに心揺さぶられる『カケラ』
L度★★★☆☆
桜沢エリカの少女漫画『ラブ・ヴァイブス』を原作に奥田瑛二長女であり映画監督の安藤モモ子がメガホンをとった『カケラ』(2009/日本)は、セックスにしか関心のない彼氏との関係に悩んでいる女子大生のハル(満島ひかり)がメディカルアーティストでレズビアンのリコ(中村映里子)との交流のなかで葛藤しつつ成長してゆく物語。
リコに想いを寄せられたハルは戸惑いつつも、独特な人生観を持つリコと親密な関係に……。レズビアン度★★☆☆☆の作品。
同性愛を通じて本当の自分に気づく『月の瞳』
L度★★★★★
『月の瞳』(1996年/カナダ)は、経験なクリスチャンの主人公・カミール(パスカル・ビュシェール)が同性愛に目覚めたことで本当の自分の姿を見つけるラブロマンス。
ミッション系大学で神話学を教えるカミールは同僚のマーティン(ヘンリー・ツェルニー)と婚約中の身でありながら、その生活に息詰まっていた。
さらに愛犬の突然死に見舞われ落ち込んでいたカミールは、サーカスのダンサー・ペトラ(レイチェル・クロフォード)と出会い、保守的な自信とは真逆といえる彼女の自由な生き様に心奪われてゆく。レズビアン度★★★★★の作品。
思わず元気が出るレズビアンコメディ『Go!Go!チアーズ』
L度★★★★☆
『Go!Go!チアーズ』(1999年/アメリカ)は、レズビアン疑惑をかけられた人気チアリーダーのメーガン(ナターシャ・リオン)が同性愛者のためのリハビリキャンプに参加させられ、自身のセクシュアリティに目覚める青春レズビアンコメディ。
同性愛ものの映画としては終始明るめでくすっと笑えるストーリーとなっている。レズビアン度は★★★★☆。
王妃に想いを寄せた朗読係の悲恋『マリー・アントワネットに別れを告げて』
L度★☆☆☆☆
ベストセラー『王妃に別れを告げて』が原作の『マリー・アントワネットに別れを告げて』(2012年/フランス・スペイン合作)は、フランス革命真っ只中のベルサイユ宮殿の裏側に焦点を当てた物語。
王妃マリー・アントワネット(ダイアン・クルーガー)の朗読係を務める少女シドニー・ラボルド(レア・セドゥ)は王妃に想いを寄せていた。
そんな折、バスティーユ陥落に伴って王妃やポリニャック夫人の名前を含む処刑リストがベルサイユに突きつけられると、王妃はポリニャック婦人の代わりにシドニーが身代わりになるように命令を下し……。レズビアン度★☆☆☆☆の作品。
生徒×教師の情熱的な恋愛模様『ブルーミントンの恋』
L度★★★★★
『ブルーミントンの恋』(2011年/アメリカ)は、自立のため大学に進学した元子役の少女が女教師との恋愛を通じて成長する姿を描いたラブストーリー。
人気のテレビドラマに出演した過去を持つ元子役女優のジャッキー(サラ・スタウファー)は、新たな人生や両親からの自立を求めて大学に進学し、「女殺し」と謳われる女教師のキャサリン(アリソン・マカティー)に思いを寄せる。
やがてジャッキーとキャサリンは結ばれるが、ジャッキーのもとに映画出演の話が舞い込み、悩んだ末にオーディションを受ける覚悟を決めるが、キャサリンはというとジャッキーとの関係がバレてしまい、大学解雇の危機に見舞われて……。レズビアン度★★★★★の作品。
中国でタブーとされる同性愛を描く『中国の植物学者の娘たち』
L度★★★★★
『中国の植物学者の娘たち』(2005年/カナダ・フランス合作)は、中国でタブー視される同性愛がテーマの作品。
孤児院育ちの少女リー・ミン(ミレーヌ・ジャンバノワ)は植物学者のチェン教授(リン・トンフー)のもと、湖の畔の植物園で実習を受ける。やがてリーは教授の娘であるチェン・アン(リー・シャオラン)と出会い、ふたりはレズビアンの関係となるが……。レズビアン度は★★★★★。
女子高を舞台に巻き起こる悲劇の青春ホラー『少女たちの遺言』
L度★★☆☆☆
『少女たちの遺言』(1999年/韓国)は、ヒット作『女校怪談』のシリーズ第2弾として作成された青春ホラー。
女子高に通うミナ(キム・ミンソン)は、レズビアンと噂される陸上部エースのシウン(イ・ヨンジン)と合唱部部員ヒョシン(パク・イェジン)の交換日記を拾う。
変わり者として疎まれていたヒョシンにとってシウンは唯一といえる支えだったが、やがてシウンは周囲からの視線を気にしてヒョシンを避けるようになっていった。
そしてミナが日記を拾った日、ヒョシンは学校の屋上から飛び降りて自殺してしまう。以来、校内では次々と怪奇現象が起きて……。レズビアン度は★★☆☆☆。
スリリングなクライムレズビアンサスペンス『バウンド』
L度★★★★★
『バウンド』(1996年/アメリカ)は、マフィアから金を強奪した女2人組の逃走劇を描いたR-15指定のクライムサスペンス。
5年の刑期を経て出所した盗みのプロ・コーキー(ジーナ・ガーション)は、マフィアのひとりであるシーザー(ジョー・パントリアーノ)と同じアパートに住み込み、とある仕事を始める。
シーザーと同居していた情婦ヴァイオレット(ジェニファー・ティリー)はコーキーに一目惚れし、そのままふたりは恋人関係に発展。
そんな折、マフィアから200万ドルという大金をせしめた会計士が捉えられシーザーの部屋で監禁されると、コーキーとヴァイオレットは共謀し、アパートに運ばれる200万ドルを奪おうとする。レズビアン度★★★★★の作品。
大胆な性描写と体当たりの演技が話題『アデル、ブルーは熱い色』
L度★★★★★
『アデル、ブルーは熱い色』(2013年/フランス)は、メガホンをとったアブデラティフ・ケシシュ監督と、大胆な背クスシーンに体当たりで挑んだ主演女優のレア・セドゥとアデル・エグザルコプロスがカンヌ国際映画祭における最高賞・パルムドールを受賞するという史上初の快挙で世界を席巻した。
運命的な出会いを果たした文学少女の高校生・アデル(アデル・エグザルコプロス)と青髪の美大生・エマ(レア・セドゥ)は情熱的に愛を交わしあうが、時間が経つにつれてすれ違うようになり……。レズビアン度は★★★★★。
女子高演劇部内の人間関係を繊細に描く『櫻の園』
L度★★★☆☆
『櫻の園』(1990年/日本)は吉田秋生の同名漫画が原作。
毎春の創立記念日にチェーホフの舞台「櫻の園」を上演することが伝統となっている私立櫻華学園高校の演劇部を舞台に、開演2時間前に起こったアクシデントとそれを乗り越えて上演にこぎつけようとする少女たちの奮闘が描かれる。
「櫻の園」上演当日、真面目な演劇部部長の志水由布子(中島ひろ子)がパーマ姿で登校し、さらにはその他部員の杉山紀子(つみきみほ)が他校の生徒とともに喫煙し補導されたというニュースが飛び込み、今年は上演中止かと思われた。しかし顧問の努力によって上演は予定通り行われる運びとなった。
普段は男役として人気を誇り、今回初となる女役に挑戦することで不安を感じていた倉田知世子(白島靖代)は由布子に励まされ、ふたりの間には友情以上の感情が芽生え始めていたのだが、そんなふたりの姿を偶然目撃した紀子は由布子に思いを寄せていて……。レズビアン度★★★☆☆の作品。
レズビアン小説の名作をスクリーンで『ナチュラル・ウーマン』
L度★★★★★
『ナチュラル・ウーマン1994』(1994年/日本)は松浦理英子の同名小説が原作。
売れない漫画家で清掃員のアルバイトをしている村田容子(嶋村かおり)は、バイト仲間のアマチュアボクサー・森沢由梨子(中島ひろ子)に思いを寄せる。
そんな容子は5年前、アマチュア漫画界のカリスマ的存在だった諸凪花世(緒川たまき)と漫画サークルで知り合い、交際に発展。しかし、ふたりの愛が深まるほどに漫画家としてのライバル心にも火が付き、精神を壊した花世は合同作品集に火を放ってビルから飛び降り、命を落としてしまった。
そんな過去を引きずる容子は、死んだ花世と真逆でタフな性格の由梨子に惹かれるが、どうしても花世の存在が忘れられず……。レズビアン度★★★★★の作品。
一部でカルト的人気を誇る名作『キャロル』
L度★★★★☆
興行成績こそ伸び悩んだものの、公開から現在に至るまで一部でカルト的人気を誇るのが『キャロル』(2015年/アメリカ)だ。
舞台は1950年代のニューヨーク。クリスマスシーズン中にデパートの玩具売り場で販売員のアルバイトをしていたジャーナリスト志望のテレーズ(ルーニー・マーラ)、娘のためのプレゼントを探しに来た優雅でミステリアスなキャロル(ケイト・ブランシェット)に一目惚れする。
以来、距離を縮めるふたりだったが、テレーズはキャロルが夫のハージ(カイル・チャンドラー)と離婚を巡って対立していることを知る。
自身もまた恋人・リチャード(ジェイク・レイシー)との結婚に踏み切れずにいたテレーズは、キャロルに対する想いが生まれて初めての本物の恋だと実感し、キャロルからの誘いでともに小旅行に旅立つのだが……。
同作品でキャロルに恋するテレーズに扮したルーニー・マーラは、カンヌ国際映画祭において女優賞を受賞した。レズビアン度は★★★★★。
アンジーのレズビアンシーンに注目『 GIA/ジーア=悲劇のスーパー・モデル』
L度★★★★☆
テレビ映画『GIA/ジーア=悲劇のスーパー・モデル』(1998年/ドイツ)は、HIVのため26歳で亡くなった実在のスーパーモデル・ジーア・キャランジの伝記作品。
スーパーモデルのジーア(アンジェリーナ・ジョリー)は若くして富と名声を手に入れた一方で、舞台裏では孤独と不安に怯える日々を送り、いつしか麻薬にのめり込んでゆく。
アンジー扮するジーアとエリザベス・ミッチェル扮する恋人のリンダが繰り広げる濃厚なレズビアンシーンが見どころ。レズビアン度★★★★☆の作品。
憧れのクラスメートと過ごす甘酸っぱい思春期『 blue(2001)』
L度★★☆☆☆
『blue(2001)』(2001年/日本)は魚喃キリコの同名漫画が原作。
高校3年に進級し周囲が進路について悩みだす頃、桐島カヤ子(市川美日子)は去年何らかの事情により停学していた1歳年上のクラスメイト・遠藤雅美(小西真奈美)に惹かれていた。ある日、意を決したカヤ子が雅美を昼食に誘うと、ふたりの仲は急接近する。
そんなとき、カヤ子は合コンで出会った少年とホテルで関係を結ぶ。しかし、彼がカヤ子の親友の想い人だったためにひどく責められてしまう。雅美は落ち込んだ様子のカヤ子を海に誘い出すが……。レズビアン度は★★☆☆☆。
レズビアンのラブシーンは芸術か否か『ハイ・アート』
L度★★★★★
『ハイ・アート』(1998年/アメリカ)は新人写真誌編集者と界隈から姿を消した有名写真家の関係を情感たっぷりに描いたラブストーリー。
ニューヨークのアパートに住むシドは、写真雑誌「フレーム」で念願の編集職に就いたばかり。あるとき、上の部屋に住むルーシーと出会うが、彼女は10年前に突如として行方をくらませた伝説の写真家だった。
野心家のシドはルーシーの作品を見て彼女に復帰を強く勧める。ためらうルーシーだったが、シドが担当を受け持つことを条件として仕事を引き受ける。そんなふたりの間には次第に恋愛感情が生まれ、ついに一夜を共にするのだが……。レズビアン度は★★★★★。
レズビアン×元カノ×反レズビアン少女の三重奏『TOPLESS』
L度★★★★★
レズビアンらの恋愛を独自の感性で綴って話題となった渡辺プリン原案の『TOPLESS』(2007年/日本)は、レズビアンとその元彼女、そしてレズビアンを憎む3人の少女たちが自分らしい生き方を模索してゆく青春物語。
自由奔放なレズビアン女子大生の夏子(清水美那)は、恋人の朋美(奥田恵梨華)と別れたことで無差別なナンパをはじめ、失恋の寂しさを紛らわせていた。
一方の朋美は人生で初めて男性の恋人・健太(河合龍之介)を作り、結婚の道を選ぼうとする。
そんな折、夏子の前に女子高生のカナ(大政絢)が現れる。カナは幼い頃に恋人の美代と蒸発したレズビアンの母・紀子を探すために上京したといい……。レズビアン度は★★★★★。
ノンケがレズビアンに目覚めるラブコメディ『Kissingジェシカ』
L度★★★★★
『Kissingジェシカ』(2001年/アメリカ)は自身をストレートと認識していた女性ふたりが、ひょんなことから恋に落ちるラブコメディ。
ニューヨークの新聞社で働くジェシカは変わり映えしない毎日や友人関係、嫌な上司に悩んでいた。
退屈な日常を打破すべく複数人の男性とデートに出かけてみたものの、どの相手とも満足の行く時間を過ごせずにいた。
そんな折、新聞の恋人募集広告で愛読するリルケの詩を見つけたジェシカは、やっと理想の相手を見つけたと歓喜するのもつかの間。この恋人募集は女性同士のものだった! レズビアン度★★★★★の作品。
寄宿舎で繰り広げられるピュアな恋の行方は『翼をください』
L度★★★★☆
『翼をください』(2001年/カナダ)は、森のなかにそびえる寄宿舎という閉ざされた世界で過ごす思春期の少女たちの恋愛を描いた青春映画。
最愛の母の死後、父の再婚相手との折り合いが悪く、全寮制の寄宿学校パーキンス女子学園にやってきたマウス(ミーシャ・バートン)は、ルームメイトであるトリー(ジェシカ・パレ)とポーリー(パイパー・ペラーボ)に歓迎され、次第に打ち解け始める。人気者のトリーとどこか不良めいたポーリーは正反対のキャラクターだが大親友として知られていた。
ある日、マウスはトリーとポーリーがベッドで愛しあっている姿を目撃。ふたりの関係は真剣そのものだったが、学園に噂が広まると、トリーはポーリーを避けるようになり……。レズビアン度は★★★★☆。
レズビアンの娘の両親も同性愛者だった『LOVE MY LIFE ラブ・マイ・ライフ』
L度★★★★★
『LOVE MY LIFE ラブ・マイ・ライフ』(2006年/日本)はやまじえびねの同名漫画が原作。
ママの死後、翻訳家のパパ(石田衣良)とふたりで暮らしている18歳の泉谷いちこ(吉井怜)が恋をしたのは同性の城島エリー(今宿麻美)だった。
意を決していちこが恋人のエリーを紹介すると、パパは驚きながらもふたりの関係を認め、実はパパとママが同性愛者だったことを告白し……。レズビアン度★★★★★の作品。
同性パートナーのため法制度に挑む『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』
L度★★★★★
『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』(2015年/アメリカ)は、病のため余命半年と宣告された女性が同性パートナーに遺族年金を残すため、既存の法制度に立ち向おうとするヒューマンドラマ。
ベテラン刑事のローレル(ジュリアン・ムーア)が出会ったのは、ステイシー(エレン・ペイジ)という若い女性。年の差も環境も乗り越えて惹かれあったふたりは郊外の家で同居をはじめ、幸せに満ちた生活を送っていた。
しかし病気を患ったローレルは余命半年と宣告される。このことを受け、遺族年金の受取人をステイシーに指定しようとするローレルだったが、既存の法制度ではそれが認められなかった。
ローレルは病に蝕まれながらも法制度の改正を求める活動を開始。それはやがて社会を動かす大きなムーブメントへと発展し……。
悲しい過去を肌で慰めあう女たち『ローマ、愛の部屋』
L度★★★★☆
『ローマ、愛の部屋』(2010年/スペイン)は、悲しい過去を背負ったふたりの女性がホテルで愛を交わす姿を描いた官能映画。
ローマのバーで出会ったスペイン人のアルバ(エレナ・アナヤ)とロシア人のナターシャ(ナターシャ・ヤロベンコ)は意気投合。飲み足りないアルバは帰ろうとするナターシャを誘い、自身のホテルへと向かう。
そこで同性愛者であることを打ち明けたアルバ。ナターシャは部屋を出ようとしたが、結局はアルバと肉体関係を持ち、お互いの秘密を打ち上げながら一夜をともにするのだった。レズビアン度は★★★★☆。
本当の恋に気づいて大パニック!?『マンハッタン恋愛セラピー』
L度★★★☆☆
ヘザー・グラハムとブリジット・モイナハンの共演でおくる『マンハッタン恋愛セラピー』(2006年/アメリカ)はニューヨークを舞台に繰り広げられるキュートなロマンティックコメディ。
広告代理店に勤めるグレイ(ヘザー・グラハム)は、まるで親友のように気心の知れた兄・サムと同居している。ある時サムは動物学者のチャーリー(ブリジット・モイナハン)と恋に落ちて、あっという間に結婚を決めてしまった。突然の出来事に戸惑いを隠せないグレイだったが、天真爛漫な魅力を持つチャーリーに惹かれはじめる。
そして結婚式の前夜、ひどく酔ったグレイとチャーリーはとんでもないことに。この出来事を通じ、グレイは自身さえ気づかなかった恋の秘密に気づいてしまう……。レズビアン度★★★☆☆の作品。
愛しあう女たちの激情と泥沼『アルビノ』
L度★★★★☆
R15+指定の『アルビノ』(2016年/日本)は愛しあう女たちが転落してゆく様を描いた作品。
自身が「女」であることに違和感を覚える屋島(不二子)は、仕事先で出会った九(真上さつき)と肉体関係を結ぶ。しかし、九と父親による姦淫を目撃してしまった屋島は激情に駆られて奈落の底に落ちてゆく。レズビアン度は★★★★☆。
本物のレズビアンたちがカメラの前で告白『彼女が彼女を愛するとき』
L度★★★★☆
『彼女が彼女を愛するとき』(2004年/アメリカ)は、実際のレズビアン2名がカメラの前で今までの経験や今現在抱えている思いを告白し、それを元としてドラマが展開する実録映画。
レズビアンのレイシー(レイシー・ハーモン)とロビン(ロビン・グリーンスパン)は同じクラブの舞台に立って女優を目指している。そんなふたりに、舞台演出家のガブリエル(ドム・デルイーズ)は「GIRL PLAY」というタイトルの台本を手渡す。その内容は、レイシーとロビンの今の姿を赤裸々に描いたもので……。レズビアン度は★★★★☆。
レズビアン版チャーリーズ・エンジェル!?『恋のミニスカウエポン』
L度★★★★☆
『恋のミニスカウエポン』(2005年/アメリカ)は女子高生のスパイ4人組の活躍をセクシーかつキュートに描いたアクションコメディ。
全米共通テストSATで好成績を収めたエイミー(サラ・フォスター)をはじめとする女子高生4人組は、政府の防衛機関DEBSからのスカウトを受け、世界の平和のためスパイに扮していた。
ある時、悪の組織のリーダー・ルーシー(ジョーダナ・ブリュースター)がロシアの殺し屋との会談のため渡米したと判明。会談を見張る4人組は、ルーシーがレズビアンであることを知る。さらにはルーシーは敵であるはずのエイミーに一目惚れしてしまい……。レズビアン度★★★★☆の作品。
女子高生同士の恋模様『スクールガール・コンプレックス~放送部篇~』
L度★★☆☆☆
写真家・青山裕企の写真集を映画にした『スクールガール・コンプレックス 放送部篇』は、女子高の放送部で展開される少女たちの不器用ながらまっすぐな恋愛模様を描いた青春群像劇。
希望ヶ丘女子高等学校放送部で部長を務める新谷マナミ(森川葵)は、学園祭で披露する朗読劇の演目を決められずにいた。
そんな折、問題を起こしたためバスケ部を退部になった問題児の三塚チユキ(門脇麦)が放送部に入部。同級生の江里口フタバ(新木優子)と怪しい関係にあるらしいチユキと関わるうち、マナミもチユキのミステリアスな魅力に惹かれていく。レズビアン度は★★☆☆☆。
レズビアンカップルとその子供たちの人生『キッズ・オールライト』
L度★★★★★
『キッズ・オールライト』(2010年/アメリカ)は、豪華キャスト陣がおくる新しい家族の群像劇。
結婚したレズビアンカップルのニック(アネット・ベニング)とジュールス(ジュリアン・ムーア)にはそれぞれ子供がおり、4人家族として南カリフォルニアに暮らしていた。
しかしある時ジュールスの息子であるレイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)が姉のジョニ(ミア・ワシコウスカ)に頼み、まだ見ぬ自分らの父親(人工授精の精子提供者)を探しはじめる。レズビアン度は★★★★★。
レズビアンドラマーの波乱の人生を描く『マイ・サマー・オブ・ラブ』
L度★★★☆☆
『マイ・サマー・オブ・ラブ』(2004年/イギリス)は、イギリス北部ヨークシャーのとある田舎町を舞台に少女たちの危うげな関係を描いた青春ストーリー。
田舎町で代わり映えしない日々を送っているモナ(ナタリー・プレス)は、避暑のため都会からやってきた美少女・タムジン(エミリー・ブラント)と出会う。対照的な性格のふたりはすっかり意気投合し、ともに行動しはじめる。
そんな折、犯罪者の兄・フィル(パディ・コンシダイン)が熱心なキリスト教徒に転身したことに不満を感じていたモナは、魔性の魅力でフィルを翻弄するタムジンへ大きな信頼を寄せてゆく。またモナは、タムジンが父の不倫や姉が拒食症の果に亡くなった姉について苦しんでいると知り、タムジンを救えるのは自分だけだと考えはじめ……。レズビアン度★★★☆☆の作品。
監督、スタッフ、キャスト全員がレズビアン『GO fish』
L度★★★★★
ベルリン映画祭最優秀長編テディ・ベア賞に輝いた『GO fish』(1994年/アメリカ)は、監督をはじめとするスタッフ、キャストら全員がレズビアンという異色コメディ。
小説家を夢見るマックス(グィネヴィア・ターナー)の悩みは恋人がいないこと。見かねた友人・キア(T・ウェンディ・マクミラン)は、前から目星をつけていたイーライ(V・S・ブローディ)とマックスをカップルにさせようともくろんでいる。しかしイーライにはすでに恋人がおり、当事者のマックスはこの計画に消極的だった。
そんな折、イーライの友人らはイーライのルックスをボーイッシュにさせるため散髪する。
ある日、マックスとイーライが本屋で巡りあうと、ふたりはたちまち惹かれあい、イーライはマックスを自宅に誘おうとする。レズビアン度は★★★★★。
ナタリー・ポートマンが女性同士のラブシーンを披露『ブラック・スワン』
L度★☆☆☆☆
『ブラック・スワン』(2010年/アメリカ)はナタリー・ポートマンとミラ・クニスの共演でおくるサイコスリラー。ナタリーとミラはプライベートでは大親友同士というが、劇中ではライバル同士に扮し、ラブシーンを演じている。
舞台はニューヨーク。バレエ団に所属するバレリーナのニナ・セイヤーズ(ナタリー・ポートマン)は、元バレリーナの母・エリカ・セイヤーズ(バーバラ・ハーシー)との二人三脚で人生のすべてをバレエに駆けて生きていた。
ある日、そんなニナのもとに「白鳥の湖」でプリマを演じるチャンスが巡ってくる。しかしニナの前に新人ダンサーのリリー(ミラ・クニス)が現れ、ふたりはライバル関係に発展。プリマの座を争いながらも戦友として友情を育んでいたが、やがてニナは精神を病み……。
レズビアン×主婦×夫の三角関係を描く『彼女の彼は、彼女』
L度★★★☆☆
フランスで大ヒットを記録した『彼女の彼は、彼女』(1990年/フランス)は、レズビアンとその恋人の主婦、そしてその夫の三角関係を描いたコメディ。
スペイン人の元踊り子・ロリ(ビクトリア・アブリル)は不動産会社を経営する夫・ローラン(アラン・シャバ)と2人の子供と暮らす主婦。平凡な結婚生活の裏側で、ローランは共同経営者の親友・アントワーヌ(ティッキー・オルカド)の協力のもと浮気に励んでいた。
そんなある日、家の戸口に中性的な女・マリジョー(ジョジアーヌ・バラスコ)がやってくる。レズバーでDJをしているというマリジョーとロリは意気投合すると、やがて親密な関係に発展し……。レズビアン度★★★☆☆の作品。
デヴィッド・リンチが描く美女ミステリー『マルホランド・ドライブ』
L度★★★☆☆
『ツイン・ピークス』で知られる鬼才デヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』(2001年/アメリカ)は、ハリウッドを舞台に展開されるふたりの美女の摩訶不思議なミステリー。
深夜のマルホランド・ドライブで乗用車による衝突事故が発生し、生き残った黒髪女性(ローラ・エレナ・ハリング)は命からがらハリウッドの街へと辿り着き、留守と思われる一軒家に宅へなだれ込んだが、そこは名の知れた女優・ルースの家だった。
叔母であるルースを訪ねてこの家にやってきた姪のベティ(ナオミ・ワッツ)と鉢合わせた黒髪女性は、とっさにリタと名乗る。ベティはリタを叔母の知人と思い込んでいたが、まもなく見知らぬ赤の他人であることを知る。
ベティを前に何も思い出せないと語るリタだったが、彼女のバッグには大金と青い鍵が入っていた。これらの手がかりをもとに、ベティはリタの記憶を呼び起こす手伝いをするのだが……。レズビアン度★★★☆☆の作品。
レズビアンドラマーの波乱の人生を描く『HIT SO HARD』
L度★★★☆☆
『HIT SO HARD』(2011年/アメリカ)は、カート・コバーンの妻として知られるコートニー・ラブ率いるバンド「HOLE」でかつてドラムを担当し、1990年代のアメリカン・オルタナティブ・ロックシーンで活躍したドラマー、パティ・シュメルの半生を映像化した作品。
「HOLE」のドラマーとして活動したパティ・シュメルは少女の頃からアルコール依存症と薬物中毒に苦悩するレズビアンだった。複数の悩みを抱えてどん底を味わうなど波乱に満ちたパティの人生を、本人が撮りためたホームビデオ映像をもとに描いている。レズビアン度★★★☆☆の作品。
父の再婚相手の娘がレズビアンだった!『キス・ミー』
L度★★★★★
『キス・ミー』(2011年/スウェーデン)は、父親の再婚相手の娘に恋してしまった女性の不安や葛藤を描いたラブロマンス。
父・ラッセの婚約パーティーに参加するため婚約者のティムとともに帰省したミア(ルース・ベガ・フェルナンデス)は、父の婚約者の娘であるスペイン語教師・フリーダ(リヴ・ミヨネス)と出会う。
レズビアンを公言するフリーダはミアへの好意をアピールし続け、一方のミアもそんなフリーダに夢中になるが、父の親心や婚約者の愛情を裏切ることができず……。レズビアン度は★★★★★。
LGBTにおすすめな映画〜ゲイ編〜
実話ラブストーリーをコミカルに描くR15+『フィリップ、きみを愛してる!』
G度★★★★★
R15+指定の『フィリップ、きみを愛してる!』(2009年/フランス)は、刑務所で運命的な出会いを果たしたボーイフレンドに愛を伝えるため、犯罪と脱獄を繰り返した男性の実話をもとに展開するドラマチックコメディ。
妻子持ちの警察官・スティーヴン(ジム・キャリー)は、交通事故で死にかけたことをきっかけに自分らしい人生を追求しはじめ、自分はゲイだと告白して家を出る。
やがて詐欺をはたらくようになったスティーヴンは逮捕され、刑務所で出会ったフィリップ(ユアン・マクレガー)に恋をすると、自分は弁護士であると嘘をついた。釈放後は幸せになるはずのふたりだったが、スティーヴンはより一層嘘や詐欺を繰り返し……。ゲイ度は★★★★★。
ブラピが制作陣に名を連ねたヒューマンドラマ『ムーンライト』
G度★★☆☆☆
ブラッド・ピットが製作総指揮を務め、アカデミー賞作品賞のほか脚色賞と助演男優賞の全3部門を受賞した『ムーンライト』(2016年/アメリカ)は、マイアミの貧困地帯に生きる黒人少年の成長を描いたヒューマンドラマ。
麻薬に溺れる母親ポーラ(ナオミ・ハリス)から育児放棄される息子のシャロン(アレックス・R・ヒバート)は、学校で「チビ」と呼ばれていじめを受けている。そんなシャロンの支えは、麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)と彼の妻、そしてたったひとりの友人・ケビン(アンドレ・ホランド)だった。
次第にケビンに恋心を募らせるシャロンだったが……。ゲイ度★★☆☆☆の作品。
妻夫木聡×綾野剛のゲイカップルに注目『怒り』
G度★☆☆☆☆
吉田修一原作×李相日監督のタッグでおくる映画『怒り』(2016年/日本)は、殺人事件勃発後、犯人未逮捕のまま一年が経過した東京、千葉、沖縄の土地にそれぞれ正体不明の男が現れたことで物語が展開するヒューマンドラマ。
『怒り』の東京パートでは妻夫木聡と綾野剛がゲイカップルに扮し情熱的なラブシーンを演じたほか、役作りのため実際にホテルで同棲していたという撮影秘話が明かされている。ゲイ度は★☆☆☆☆。
死んだ恋人の影を彼の実兄のなかに見つけ……『トム・アット・ザ・ファーム』
G度★★★★☆
女性になりたいと願う男性とその恋人の愛を描いた『わたしはロランス』で一躍注目を浴びたグザヴィエ・ドランが監督・主演を務める『トム・アット・ザ・ファーム』(2013年カナダ・フランス合作)は、2011年に発表された同名戯曲を映画化した心理サスペンス。
恋人・ギョームの葬式に出席するため彼の故郷を訪れたトム(グザヴィエ・ドラン)は、ギョームの母・アガット(リズ・ロワ)と対面するが、彼女は息子の恋人がサラという女性であると認識していた。
唯一事情を知るギョームの兄・フランシス(ピエール=イブ・カルディナル)はトムに対し、自身が恋人である事実を隠すように強いる。はじめは反発していたトムだが、やがてフランシスに対しギョームの面影を見るようになり……。ゲイ度★★★★☆の作品。
時代に翻弄される同性愛の結末は『モーリス』
G度★★★★★
『モーリス』(1987年/イギリス)は、文豪・フォースターの作品ながら「同性愛」がテーマのためにお蔵入りとなり、作者没後にようやく出版された同名小説を映画化した作品。
舞台は20世紀初頭のイギリス。ケンブリッジ大学に通うモーリス・ホール(ジェームズ・ウィルビー)は、良家の子息であるクライヴ・ダーラム(ヒュー・グラント)と惹かれあうが、プラトニックのまま大学を卒業する。
その後ふたりはそれぞれの道を歩みながら交流を継続していたが、弁護士を目指すクライヴは母の勧めでとある女性との結婚を決意する。ひどく傷ついたモーリスは、ダーラム家の猟場番・アレック(ルパート・グレイブス)と恋に落ち……。ゲイ度は★★★★★。
男性同士のひと夏の恋を格調高く描く『君の名前で僕を呼んで』
G度★★★★★
『モーリス』のジェームズ・アイボリーが脚本を担当し、アカデミー賞作品賞を含む4部門にノミネートされた『君の名前で僕を読んで』(2017年/イタリア・フランスブラジル・アメリカ合作)は、同名小説が原作のラブストーリー。
1983年の夏、家族とともに避暑地にやってきた17歳の少年エリオ(ティモシー・シャラメ)は、24歳の大学院生・オリヴァー(アーミー・ハマー)と出会う。
一緒にスイミングをしたり街を散策したり、読書や音楽鑑賞をしながらを過ごすうち、エリオはオリヴァーに淡い思いを抱きはじめる。やがてふたりは情熱的な恋に落ちるが、夏が終わればエリオはオリヴァーと離れなければならず……。ゲイ度★★★★★の作品。
中村明日美子のBL漫画を実写化『ダブルミンツ』
G度★★★★★
BL漫画『同級生』などで知られる漫画家・中村明日美子の漫画を実写映画化した『ダブルミンツ』(2017年/日本)は、「イチカワミツオ」の名を持つふたりの関係を描いた作品。
壱河光夫(淵上泰史)のもとにかかってきた一本の電話。「女を殺した」と語る声の主は高校時代の同級生・市川光央(田中俊介)だった。
高校時代、冷酷かつ高飛車な光央の下僕として扱われていた光夫は、数年ぶりに再会した光央に対しても従順な共犯者となるが、ふたりの関係はさらに新しいものへと変貌してゆく。
思春期の心模様を優れた映像センスで表現『さよなら、ぼくのモンスター』
G度★★★★★
『さよなら、ぼくのモンスター』(2015年/カナダ)は、思春期の少年の葛藤や心情を優れた映像センスで表現し、トロント国際映画祭における最優秀カナダ長編映画部門を受賞した青春ストーリー。
父子家庭育ちの高校生でゲイのオスカー(コナー・ジェサップ)は、幼い頃に目撃した殺人事件の記憶が今もトラウマとなっている。特殊メイクのアーティストを志すオスカーはニューヨークにある学校への進学を希望するが、その一方でバイト仲間のワイルダー(アーロン・エイブラムス)に惹かれはじめ……。ゲイ度★★★★★の作品。
ゲイカップルとその母親の心の交流を描く『追憶と、踊りながら』
G度★★★★★
『追憶と、踊りながら』(2014年/イギリス)は、ロンドンで生活する年老いた中国人女性とその息子、そして彼の恋人であるイギリス人青年が織りなすヒューマンドラマ。
介護ホームで生活を送るカンボジア系中国人のジュン(チェン・ペイペイ)の楽しみは、息子・カイ(アンドリュー・レオン)が面会にやってきてくれること。
ジュンはカイの恋人・リチャード(ベン・ウィショー)を毛嫌いしていたが、対するリチャードの方はジュンに対していつも優しかった。
そんなある日リチャードは、英語を話すことができないジュンのために通訳を雇い……。ゲイ度は★★★★★。
愛する者を失った中年男性の最期の一日とは『シングルマン』
G度★★★★☆
世界的デザイナーであるトム・フォードがはじめてメガホンをとった『シングルマン』は、クリストファー・イシャーウッドの小説を原作に、恋人を失った中年男性が過ごす最期の一日を感動的に描いた作品。
長年の恋人を失い、孤独な日々を送る大学教授のジョージ(コリン・ファース)は、今日で人生の幕を下ろすため準備を進めていた。
そんな日に限って大学での講義は白熱し、いつもであれば敬遠していた隣の少女との会話に喜びを感じていた。やがて遺書を書き終えたジョージのもとに、昔の恋人・チャーリー(ジュリアン・ムーア)から連絡が入り……。ゲイ度★★★★☆の作品。
ゲイのための老人ホームを舞台に描かれる人間模様『メゾン・ド・ヒミコ』
G度★★★☆☆
オダギリジョーと柴咲コウの初共演でおくる『メゾン・ド・ヒミコ』(2005年/日本)は、ゲイ専用の老人ホームを舞台に展開される人間模様を描いた作品。
ゲイの父親(田中泯)を嫌う娘の沙織(柴崎コウ)は、父がガンを患っているため余命が僅かであることを春彦(オダギリジョー)から告げられる。
ゲイのための老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」で働く春彦は、父の恋人だといい……。ゲイ度は★★★☆☆。
20年以上も秘密裏に愛を貫いたゲイカップル『ブロークバック・マウンテン』
G度★★★★★
ヴェネチア国際映画祭における最高賞の金獅子賞を獲得したほか、アカデミー賞主要8部門にノミネートされた『ブロークバック・マウンテン』(2005年/アメリカ)は、保守的なアメリカ西部を舞台で、20年以上にも及ぶ男性同士の愛を描いたヒューマンドラマ。
カウボーイのイニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)はたったふたりで過ごす過酷なキャンプのなかで愛しあいはじめ、それぞれが結婚したあとも密かに関係を続け……。ゲイ度★★★★★の作品。
愛しあい、傷つけあう男たちの情熱的な愛『ブエノスアイレス』
G度★★★★★
香港の鬼才ウォン・カーウァイ監督がメガホンをとった『ブエノスアイレス』は、男同士の激しくも切ない恋愛を描いた映画。
幾度となく愛を交わしながら別れを繰り返してきたウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)は、関係修復のために南米・アルゼンチンを訪れたにもかかわらず、ここでも些細な喧嘩に発展し別れてしまう。
ふたりはファイが務めるタンゴバーで再会したのだが…。ゲイ度★★★★★の作品。
青年同士の恋とそれを見つめる少女の関係『花蓮の夏』
G度★★☆☆☆
『花蓮の夏』(2006年/台湾)は、友情を越えた関係の幼なじみの青年ふたりと、それを見守る少女の三角関係を描いた青春ドラマ。
舞台は台湾の小学校。クラスで班長を務める優等生・ジェンシン(ブライアン・チャン)は、問題児・ショウヘン(ジョセフ・チャン)と仲良くするように教師から言いつけられる。
やがて親友となり高校に進学したふたりだが、孤独な少女・ホイジャ(ケイト・ヤン)が転校してきたことをきっかけに、ジェンシンはショウヘンに対する特別な思いに気づいてしまい……。ゲイ度は★★☆☆☆。
ふたりの男娼によるロードムービー『マイ・プライベート・アイダホ』
G度★★★★☆
同性愛のほか、近親相姦やドラッグなどといったショッキングな要素がちりばめられた『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年/アメリカ)は、鬼才ガス・ヴァン・サントがメガホンをとったロードムービー。
路上で中年男性に体を売るストリートチルドレンのマイク(リバー・フェニックス)は、緊張すると昏睡してしまうナルコレプシーを患っている。一方、家出中のスコットは市長の息子でありながらマイクと同様に男娼をしていた。
そんなある日マイクは自身を捨てた母親を探そうと思い立ち、スコットとともに実兄・リチャード(ジェームズ・ルッソ)のいる故郷・アイダホへ向かうが……。ゲイ度は★★★★☆。
神学校での恋や性的虐待を描く半自叙伝的作品『バッド・エデュケーション』
G度★★★☆☆
『トーク・トゥ・ハー』などで知られるペドロ・アルモドバル監督の『バッド・エデュケーション』(2004年/スペイン)は神学校での悲劇を描いた半自伝的作品。
新進気鋭の人気映画監督・エンリケ(フェレ・マルチネス)の元へ、少年時代に神学校の寄宿舎で共に過ごしたという青年・イグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が映画の脚本を持って現れた。
子供の頃の面影がないイグナシオに対し戸惑うエンリケ。さらにイグナシオの脚本には、寄宿舎で起きた悲劇が描かれていて……。ゲイ度は★★★☆☆。
実際に起きた殺人事件をもとに描く青春『青い棘』
G度★★☆☆☆
『青い棘』(2004年/ドイツ)は、1927年にベルリンで実際に起きたセンセーショナルな事件「シュテークリッツ校の悲劇」を映画化した映画。
パウル・クランツ(ダニエル・ブリュール)とギュンター・シェラー(アウグスト・ディール)は寄宿学校の最上級生。労働者階級の出身で内気なパウルと上流階級育ちで自信家のギュンターは、正反対のキャラクターながらとある誓を立てた親友同士だった。
ある週末、ふたりはシェラー家の別荘を訪れ、ギュンターの妹・ヒルデ(アンナ・マリア・ミューエ)と出会ったパウルはあっという間に恋に落ちる。自由奔放なヒルデにはすでに恋人・ハンス(トゥーレ・リントハート)がおり、しかも彼はギュンターの昔の恋人で……。ゲイ度★★☆☆☆の作品。
ゲイの高校生が見つけた本当の恋愛とは『Love, サイモン 17歳の告白』
G度★★★★★
『Love, サイモン 17歳の告白』(2018年/アメリカ)は、ゲイを自認する高校生が本物の恋を通じて成長してゆく姿を描いた青春ストーリー。
男子高校生サイモンは、ゲイであることを秘密にしていた。あるとき、同級生の中にブルーを名乗る匿名のゲイがいると知ったサイモン(ニック・ロビンソン)は、彼と連絡を取ろうと試みる。
メールを交わすうちブルーに夢中になったサイモンはブルーが誰なのか気になりだすが、そんな折ブルーとのメール履歴を同級生に見られてしまい、女友だちとの恋の手助けをするよう脅されて……。ゲイ度★★★★★の作品。
2019年2月公開のラブストーリー『ゴッズ・オウン・カントリー』
G度★★★★★
日本では2019年2月に上演される『ゴッズ・オウン・カントリー』(2017年/イギリス)は、ヨークシャーの大自然を舞台に愛しあう青年たちの姿を描き、ベルリン国際映画祭をはじめとする世界の映画祭で高く評価されたラブストーリー。
祖母や病気を患う父に代わって家族経営の牧場を取り仕切るジョニー(ジョシュ・オコナー)は、労働に明け暮れる孤独な日々を飲酒や行きずりの性交で紛らわしていた。
羊の出産シーズンを迎えると、牧場にはルーマニア移民のゲオルゲ(アレック・セカレアヌ)が季節労働者としてやってきた。当初は衝突してばかりいたふたりだったが、羊に対して優しいゲオルゲにジョニーはこれまでにない恋慕を抱きはじめる。ゲイ度は★★★★★。
目の見えない少年の恋模様『彼の見つめる先に』
G度★★★★★
『彼の見つめる先に』(2014年/ブラジル)は、自身もゲイであることをカミングアウトしているダニエル・ヒベイロ監督と脚本を担当した感動作。
視覚障害者の高校生・レオナルド(ジュレルメ・ロボ)は、過保護ぎみな両親と穏やかな祖母、そしていつも幼なじみのジョバンナ(テス・アモリン)たちと平穏な日々を過ごしていた。
あるときクラスにガブリエル(ファビオ・アウディ)が転校してくると、レオナルドとジョバンナはレオナルドの障害をからかわないガブリエルとすぐに打ち解ける。
ガブリエルとともに映画を見に出かけたり自転車に乗ってみたりと、新たな世界の扉を開いたレオナルドだったが、次第にそれぞれの心境に変化が生まれ……。ゲイ度は★★★★★。
ゲイカップルとその家族によるハートフルコメディ『バードゲージ』
G度★★★★★
『Mr.レディ Mr.マダム』のハリウッドリメイク作『バードゲージ』(1996年/アメリカ)は、公私共に最高のパートナーである男性カップルとその家族を描いたハートフルコメディ。
フロリダのショー・クラブ「バードケージ」でオーナー兼演出家を務めるアーマンド(ロビン・ウィリアムズ)と、彼の相棒である店のトップスター・アルバート(ネイサン・レイン)は仕事でもプライベートでも最高のパートナー同士。
あるとき突然、20年前の過ちで生まれた息子・ヴァル(ダン・ファターマン)がふたりのもとを訪れ、「結婚がしたい」と主張。婚約者はなんと超保守派の上院議員・キーリー(ジーン・ハックマン)の娘で……。ゲイ度は★★★★★。
同性愛にのめり込むエリート学生たちの青春『アナザー・カントリー』
G度★★★★★
『アナザー・カントリー』(1984年/イギリス)は、1930年代イギリスのパブリックスクールで同性愛や共産主義のめり込むエリート学生ら姿を耽美的に描いた青春ストーリー。
舞台は上流階級のなかでも選ばれた者のみに入学が許される全寮制のパブリックスクール。
見目麗しく優秀な生徒のガイ・ベネット(ルパート・エヴェレット)は、明るい将来が約束されていた。親友のトミー・ジャッド(コリン・ファース)はレーニンに傾倒する共産主義者だが、ガイのブルジョワ思考を軽蔑する一方で彼の魅力に惹きつけられていた。
そんなある日、ガイが別寮の生徒であるジェームズ・ハーコート(ケイリー・エルウィズ)に一目惚れしてしまい……。ゲイ度★★★★★の作品。
活動家たちの戦いと愛を描いた『BPM ビート・パー・ミニット』
G度★★★★★
『BPM ビート・パー・ミニット』(2017年/フランス)は、1990年代初頭のパリを舞台にエイズ(HIV)や同性愛に対する差別に抗議する活動家たちの姿を描き、カンヌ国際映画祭のグランプリを受賞したヒューマンドラマ。
エイズへの偏見や差別を正そうと抗議活動を展開する「Act Up-Paris」に参加しているショーン(ナウエル・ペレース・ビスカヤート)はメンバーのひとりであるナタン(アルノー・ヴァロワ)と恋に落ちるが、次第にHIV(エイズ)の症状に見舞われはじめ……。ゲイ度は★★★★★。
ランボーとヴェルレーヌの破滅的な愛の顛末『太陽と月に背いて』
G度★★★★★
『太陽と月に背いて』(1995年/イギリス・フランス・ベルギー合作)は、夭折した天才詩人のアルチュール・ランボーと、同じく詩人のポール・ヴェルレーヌの愛の軌跡を壮大なスケールで描いた作品。
若くして才気溢れる美しき詩人・ランボーと、酒に溺れて激しく感情を爆発させる内気な詩人・ヴェルレーヌの出会いからおよそ2年に及ぶ愛の日々からランボーの死までをおよそ2時間にまとめている。
初老にさしかかる詩人のポール・ヴェルレーヌ(デイヴィッド・シューリス)のもとに、アルチュール・ランボー(レオナルド・ディカプリオ)の弟であるイザベル・ランボー(ドミニク・ブラン)がやってくることで物語は展開。
ヴェルレーヌが所持するという兄の遺稿の返却を迫るイザベルを前に、ヴェルレーヌはかつての恋人であるランボーに会った当時を思い出していた……。ゲイ度は★★★★★。
男性同士の友情や恋愛模様『マイ・ビューティフル・ランドレット』
G度★★★★★
『マイ・ビューティフル・ランドレット』(1985年/イギリス)は、もともとイギリス民放局チャンネル4で放送するため製作されたものの、劇場公開に伴い注目を集め、アカデミー賞における脚本賞にノミネートされるなど世界的に高評価を得たヒューマンドラマ。
ロンドンのアパートで父とふたり暮らしをしているパキスタン人のオマール(ゴードン・ウォーネック)は、街中でたまたま再会を果たした幼なじみのジョニー(ダニエル・デイ=ルイス)とともに、叔父で実業家のナセル(サイード・ジャーフリー)から任されたコインランドリー経営をはじめるが……。ゲイ度★★★★★の作品。
ビョルン・アンドレセンの美貌が炸裂する名作『ベニスに死す』
G度★★★☆☆
ノーベル賞作家であるトーマス・マンの原作を巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督が映画化した『ベニスに死す』(1971年/イタリア・フランス合作)は作曲家グスタフ・マーラーをモティーフに、全編通じて「交響曲第3、5番」が流れる耽美的名作。
映画そのものの魅力はもちろん、美少年役に扮したスウェーデン出身の俳優ビョルン・アンドレセンの美貌が注目を集めている。
1911年、療養のためイタリア・ベニス(ベネチア)にやってきたドイツ人の老作曲家・アシェンバッハ(ダーク・ボガード)は、宿泊先のホテルで見かけた少年・タジオ(ビョルン・アンドレセン)の虜となり、その姿を目にするたび歓喜の思いを募らせていた。
そんな折、ベニスではコレラ(黒死病)が流行しはじめ……。ゲイ度は★★★☆☆。
思春期の少年の淡い恋心を描く『ハートストーン/h6』
G度★★★★☆
『ハートストーン』(2016年/アイスランド・デンマーク合作)は、自然豊かなアイスランドの漁村に暮らす思春期の少年たちの心情を描いた青春ストーリー。
東アイスランドのとある漁村で生活する少年・ソール(バルドゥル・エイナルソン)とクリスティアン(ブラーイル・ヒンリクソン)は幼なじみの親友同士。
思春期に差し掛かると、ソールはどこか大人びた雰囲気の美少女のベータ(ディルヤゥ・ワルスドッティル)に夢中になる。
そんなソールの恋を応援しようと後押しするクリスティアンだったが、自身のなかに渦巻くソールにへの特別な感情に気がつきはじめ……。ゲイ度は★★★★☆。
ゲイカップルとダウン症の少年が社会と戦う『チョコレートドーナツ』
G度★★★★★
数々の映画賞で観客賞を総なめした映画『チョコレートドーナツ』(2012年/アメリカ)は、同性愛に対する偏見や差別が色濃かった1970年代のアメリカを舞台に、育児放棄されたダウン症の少年を家族のように迎え入れたゲイカップルの愛を描いた実話。
歌手になる夢を持ち、ショウダンサーとして働くルディ(アラン・カミング)と、世の中を変えるために弁護士になったポールは、育児放棄され母親の愛情を知らないダウン症の少年・マルコ(アイザック・レイバ)を迎え入れ、家族同然で暮らしていた。
そんなある日、ゲイカップルであるルディとポールは法律と世間からの偏見に阻まれてマルコと引き離されてしまい……。ゲイ度は★★★★★。
LGBTにおすすめな映画〜トランスジェンダー・ドラァグクイーン・その他編〜
性転換手術に失敗したロックシンガーの半生『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
ミュージカルを映画化し、サンダンス映画祭における監督賞や観客賞など複数の映画賞をを受賞した『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2002年/アメリカ)は、日の目を見ないゲイシンガーの半生をグラムロックとともに展開する話題作。
売れないロックシンガーのヘドウィグ(ジョン・キャメロン・ミッチェル)は、東ドイツでハンセル少年として生を受けるも渡米の際にアメリカ兵と結婚するため性転換手術を受け、その際のミスで股間に「怒りの1インチ(アングリー・インチ」が残ってしまったトランスジェンダー。
術後、ハンセルからヘドウィグと改名してアメリカに飛ぶも米兵に捨てられてしまうが、ふと幼い日の夢を思い出しロックバンドを結成する。ヘドウィグは、そんな折に出会った17歳の少年トミー・ノーシス(マイケル・ピット)にロックシンガーとしての技術や魂を注ぎ込むが……。
女性になりたい彼氏とその彼女の10年愛を描く『わたしはロランス』
若き天才監督のグザヴィエ・ドランが手がけた『わたしはロランス』(2012年/カナダ・フランス合作)は、女性になりたいと願う男性とその恋人の10年に及ぶ愛を描いた感動作。
カナダのモントリオールで生活する国語教師のロランス・アリア(メルビル・プポー)は、恋人のフレッド・ベレール(スザンヌ・クレマン)に対し、「女になりたい」と打ち明ける。
はじめはロランスを非難していたフレッドだったが、やがてロランスの一番の理解者になろうと決意を固め……。
3人のドラァグクイーンが真実の愛を探すロードムービー『プリシラ』
『プリシラ』(1994年/オーストラリア)は3人のドラァグクイーンが真実の愛を追い求め、バスに乗って旅に出る物語。主人公たちのきらびやかな衣装や全編に渡って流れる70年代のディスコヒットソングが印象的なロードムービーだ。
気高い性転換者のバーナデット(テレンス・スタンプ)とバイセクシャルのミッチ(ヒューゴー・ウィーヴィング)、世間知らずな若者・フェリシア(ガイ・ピアース)はショーハウスに出演するドラァグクイーン。
3人はオーストラリア中部に位置する砂漠のリゾートで興行を行うため、バスのプリシラ号に乗り込んでシドニーからはるばる3千キロの旅に出る。
感動的な実話を80年代のヒットナンバーとお届け『パレードへようこそ』
カンヌ国際映画祭における監督週間で上映され、クィア・パルムを受賞したほか、ゴールデングローブ賞作品賞(ミュージカル/コメディ部門)にノミネートされた『パレードへようこそ』(2014年/イギリス)は、イギリスで起きた炭鉱労働者らのストライキと同性愛者らの友情をコミカルに描いた実話。
1984年にイギリスで起きた炭鉱労働者らのストライキを知ったマーク(ベン・シュネッツァー)は仲間らとともに募金を呼びかける活動を開始したが、この申し出は彼らがゲイやレズビアンであったために炭坑組合から完膚なきまでに無視された。
マークと仲間たちは、唯一申し出を受け入れたウェールズ奥地の炭坑町へ向かう。やがて町の住民らと友情や信頼でで結ばれたマークらは、資金集めのためにとあるコンサートを企画し……。
トランスジェンダーの夫を支える妻の実話『リリーのすべて』
『リリーのすべて』(2015年/イギリス)は世界初の性別適合手術を受けたリリー・エルベの人生を描き、アカデミー賞における主演男優賞や助演女優賞を含む4つの部門でノミネートされた実話ドラマ。
舞台は1926年のデンマーク。画家のアイナー・ベルナー(エディ・レッドメイン)は、肖像画家の妻・ゲルダ(アリシア・ビカンダー)からの依頼を受け女性モデルの代役を務めたことで、自身に潜むとある女性の存在に気づく。
以来、リリーという女性として過ごしはじめたアイナーは、心と身体の性が一致しない悩みを抱えるようになる。
当初こそ夫の様子に戸惑いをみせたゲルダだったが、リリーを名乗る夫に対して次第に理解を深めてゆくのだった。
高齢の父親からのカミングアウト受けて人生が変わる『人生はビギナーズ』
『人生はビギナーズ』(2010年/アメリカ)は、孤独な独身青年が父親からのカミングアウトを受けて自身の人生を見つめ直すヒューマンドラマ。
5年前に母を亡くした内気な性格の独身・オリバー(ユアン・マクレガー)はある日、ガン宣告を受けた父・ハル(クリストファー・プラマー)からゲイであることをカミングアウトされる。
75歳にして新たな人生を歩みだした父に対し、38歳になっても恋に積極的になれないオリバーだったが、父の死後に参加したパーティーでアナ(メラニー・ロラン)と運命的な出会いを果たし……。
伝説のドラァグクィーンが主演するお下劣カルト映画『ピンクフラミンゴ』
伝説のドラァグクイーンとして呼び声高いディヴァインの主演でおくる『ピンクフラミンゴ』(1972年/アメリカ)は、「この世で一番破廉恥な人間」の座をめぐってありとあらゆる変態行為が繰り広げられるカルト映画。
下品を極めるその内容はここでは割愛するが、興味のある方はこちらからご購入いただける。
生田斗真がトランスジェンダーに扮するヒューマンドラマ『彼らが本気で編むときは、』
『彼らが本気で編むときは、』(2017年/日本)は、生田斗真がトランスジェンダー役に扮し、その恋人を桐谷健太が演じたヒューマンドラマ。
母親のヒロミ(ミムラ)と暮らしていた11歳の少女・トモ(柿原りんか)は、ヒロミが家出をしたためにひとりぼっちになってしまった。
叔父のマキオ(桐谷健太)のもとを訪ねるトモだったが、マキオは元男性の恋人・リンコ(生田斗真)とともに暮らしていた。介護士のリンコは老人ホームで働きながら、トモに母親以上の愛情を注ぎはじめる。そんなリンコに対し、はじめは戸惑いを隠せなかったトモだったが……。
3人のドラァグクイーンによるハートフルコメディ『3人のエンジェル』
ゴールデン・グローブ賞における主演男優賞と助演男優賞にノミネートされた『3人のエンジェル』(1996年/アメリカ)は、大陸横断の旅に出た3人のドラァグクイーンを描いたハートフルコメディ。
ドラァグクイーンコンテストのニューヨーク地区予選を通過し、ハリウッドで開催される全国大会に出場するため、古ぼけたキャデラックに乗り込んだヴィーダ(パトリック・スウェイジ)とノグジーマ(ウェズリー・スナイプス)、そして(ジョン・レグイザモ)は、長い旅路の途中で仲違いを起こす。
そんな折にキャデラックが故障したため、アメリカ中部の田舎町・スナイダービル小さな町に立ち寄った3人は、修理が終わるまで町から動けなくなり……。
実際にあった同性愛者らの権利運動を描いたヒューマンドラマ『ストーン・ウォール』
『ストーン・ウォール』(2015年/アメリカ)は、1969年にアメリカ・ニューヨークで起きた同性愛者らの権利運動「ストーンウォールの反乱」をテーマにしたヒューマンドラマ。
1969年当時、精神病患者として扱われ差別を受けていた同性愛者たちが集まるゲイバー「ストーンウォール・イン」のあるニューヨーク・グリニッジ・ビレッジのクリストファーストリートへと流れついたダニー(ジェレミー・アーバイン)は、ゲイ発覚以降両親や恋人に見捨てられ故郷を追われた青年。
そんなダニーを迎え入れたのは、ゲイのギャングを率いて売春するレイ(ジョニー・ボーシャン)だった。レイに歓迎されたダニーは、この街でたくましく陽気に暮らすゲイやレズビアン、ドラアグクィーンや活動家のトレバー(ジョナサン・リース=マイヤーズ)たちと打ち解けあうが……。
トランスジェンダーが登場する感動の実話『ダラス・バイヤーズクラブ』
『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013年/アメリカ)は、主演を務めたマシュー・マコノヒーがエイズ患者に扮するするため20キロ以上減量するなど徹底した役作りに挑み、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた実話ドラマ。
舞台は1985年のアメリカ・ダラス。行きずりの女性とのワンナイトラブに明け暮れていた電気技師のロン(マシュー・マコノヒー)は突然倒れて、エイズのため余命30日と宣告されてしまう。
当時のロンはエイズ=同性愛者だけの問題と捉えており、政府もまた同様の認識だったため、エイズに対する対応は国全体としても遅れていた。
メキシコに飛んだロンは治療薬を入手。帰国後はトランスジェンダーのレイヨン(ジャレッド・レト)をパートナーに、海外から密輸したエイズの治療薬を売る会員制ビジネスを開始する。
実在する同性愛者の政治家の半生を描いた『ミルク』
ガス・バン・サント監督がメガホンをとった『ミルク』(2008年/アメリカ)は、同性愛者を公表したうえでアメリカ史上で初となる公職に就いた政治家のハービー・ミルクの半生を描き、アカデミー賞主演男優賞やオリジナル脚本賞に輝いたヒューマンドラマ。
舞台は1970年代のアメリカ・サンフランシスコ。
生まれつきの性格や人柄からゲイやヒッピーからの信頼を集める同性愛者・ミルク(ショーン・ペン)は、世間の差別や偏見に立ち向かいながらマイノリティの権利を求め、市制執行委員会選挙に立候補する。
実在する同性愛者の政治家の半生を描いた『フィラデルフィア』
アカデミー賞における主演男優賞や歌曲賞を受賞した『フィラデルフィア』(1993年/アメリカ)は、エイズに羅患したため事務所を解顧された弁護士とエイズに怯える弁護士のふたりが、見えざる敵である差別や偏見と戦う社会派ドラマ。
一流法律事務所に務める弁護士のアンドリュー・ベケット(トム・ハンクス)は、エイズに感染したことで会社から解雇処分を宣告される。ベケットはこれを「エイズ患者への不当な差別」であるとして訴訟を決意し、かつては敵同士として法廷で向かい合った弁護士のジョー・ミラー(デンゼル・ワシントン)に弁護を依頼。
エイズ患者かつ同性愛者であるベケットに偏見を持っていたミラーは、一度その依頼を断るが、不当な蔑視や偏見に立ち向かおうとするとベケットの姿に心を動かされ、最終的には彼の弁護を引き受ける。
しかし、エイズのため日毎に衰弱していくベケットと関係者にとって、この裁判は過酷を極め……。
実際の事件をもとに描くトランスジェンダーの恋『ボーイズ・ドント・クライ』
『ボーイズ・ドント・クライ』(1999年/アメリカ)は、1993年にアメリカの田舎町で起きた殺人事件をもとに、トランスジェンダーの女性の複雑な内面や過去を描き、アカデミー主演女優賞をはじめとする全米賞レースで複数の女優賞を総なめした作品。
1993年、アメリカ・ネブラスカ州の田舎町フォールズ・シティにやってきた美青年ブランドン・ティーナ(ブランドン(ヒラリー・スワンク))は、バーで知り合ったラナ(クロエ・セヴィニー)に一目惚れする。
一方のラナも、ブランドンの独特な魅力に惹かれて、ラナの仲間たちもブランドンを仲間として受け入れはじめる。しかしブランドンの正体は、心と身体の性が一致しない「性同一性障害」の女性、ティーナ・ブランドンだった。
ロサンゼルスに生きるマイノリティーの姿をコメディタッチで描く『タンジェリン』
『タンジェリン』(2015年/アメリカ)は、アナモレンズを装着したスマートフォン3台のみで撮影されたコメディド映画。
舞台はロサンゼルスのドーナッツショップ。クリスマスイブのこの日、トランスジェンダーの娼婦シンディ(キタナ・キキ・ロドリゲス)は恋人の浮気を知って怒り狂い、その浮気相手を懲らしめるために捜索しようと意気込んでいた。
一方、シンディをなだめる歌手志望の親友・アレクサンドラ(マイヤ・テイラー)はライブ出演を目前に控えているためどこか上の空。
そんな折、ドーナッツショップの付近を流していたアルメニア移民のタクシー運転手・ラズミック(カレン・カラグリアン)は、自身のアブノーマルな欲望を満たすためのもくろみを立てていて……。
ゲイを通じてニューヨークの下層社会が持つ一面を暴く『パリ、夜は眠らない』
『パリ、夜は眠らない』(1990年/アメリカ)は、ボールと呼ばれるゲイコンテストにカメラが密着し、マイノリティーが直面する現実と生き様を描いたドキュメンタリー。
マドンナが取り入れ世界的に有名になったヴォーギングを生んだゲイコンテスト・ボールでは、黒人系やラテン系のゲイたちがそれぞれ自慢の衣装に身を包んでステップを競いあい……。
性転換手術を受けた凄腕の殺し屋の復讐を描くアクション映画『レディ・ガイ』
『レディ・ガイ』(2016年/アメリカ)は、性転換手術によって男から女にされてしまった殺し屋の活躍を描くアクションムービー。
凄腕の殺し屋であるフランク・キッチン(ミシェル・ロドリゲス)は銃撃戦の果に意識を失い、見知らぬベッドで目を覚した。身体中に巻かれた包帯を取って鏡を見ると、フランクは見た目が女性に変わっていることに驚愕。
なんとフランクは意識不明のさなか、謎の女性医師(シガニー・ウィーバー)によって性転換手術を施されていたのだった。復讐と称して性転換手術を強行されたフランクは、自身を男性から女性に変えた何者かに対する復讐を開始し……。
ゲイカップル×子供を生みたい女が新しい家族像を追求『ハッシュ!』
『ハッシュ!』(2001年/日本)は、とあるゲイカップルと女性が新しい家族の形をめぐって騒動を繰り広げるヒューマン・ドラマ。
二丁目で出会って交際をスタートさせた奔放なゲイの直也(高橋和也)とゲイを隠している勝裕(田辺誠一)の前に、歯科技工士の朝子(片岡礼子)が現れる。人との触れあいを諦め、無機質なセックスを繰り返す毎日を送る朝子は、勝裕がゲイであることを承知のうえで彼の子供を妊娠したいと言い出して……。
エル・ファニングがトランスジェンダーに扮する『アバウト・レイ 16歳の決断』
『アバウト・レイ 16歳の決断』(2015年/アメリカ)は、エル・ファニングがトランスジェンダーの主人公に扮し、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドンら豪華キャストが共演に名を連ねたヒューマンドラマ。
16歳のレイ(エル・ファニング)はある日「心も身体も男性になりたい」と告白し、ホルモン治療を希望する。突然の出来事に戸惑う母のマギー(ナオミ・ワッツ)は不安を忘れ去るためか、近所の青年とベッドを共にする。
その一方で、レズビアンであることを公表しパートナーと同棲している祖母のドリー(スーザン・サランドン)は、陰ながらレイを応援していた。
自分らしく生きようと行動するレイを見ていたマギーはいよいよ覚悟を決め、レイの父親であり別れた元夫のクレイグ(テイト・ドノヴァン)のもとを訪問。レイのホルモン治療ための同意書にサインを求めるが……。
トランスジェンダーのその息子のユーモラスなロードムービー『トランスアメリカ』
アカデミー賞主演女優賞のほかゴールデン・グローブ賞主演女優賞など数多くの映画賞に輝いた『トランスアメリカ』(2006年/アメリカ)は、複雑すぎる状況で出会った親子が旅のなかで距離を縮めてゆく様をユーモラスに描いたロードムービー。
女性になりたいと願うトランスジェンダーの中年男性・ブリー(フェリシティ・ハフマン)は、性転換手術を翌週に控えていた。
そんなブリーの前に突如として現れた少年・トビー(ケヴィン・ゼガーズ)は、ブリーがかつて男だった頃に生まれた息子であると判明するが、女性になりたいブリーはトビーを養父のもとへと送り返そうとして……。
ゲイやニューハーフが織りなすヒューマンドラマ『EDEN』
『EDEN』(2012年/日本)は、マイノリティに対する温かな目線からゲイやニューハーフたちが織り成すヒューマンドラマを描いた作品。
舞台は新宿のショーパブ「エデン」。店長兼演出家のミロ(山本太郎)の誕生日、仲間のノリピーが死んでいるが見つかった。そのうえ、オーナー・美紗子(高岡早紀)はストーカーの被害にあっているといい、常連客の仲里アカネ(中村ゆり)は積年の悩みをミロに吐き出しはじめる。
ハプニング多発の誕生日となってしまったミロだったが、仲間のエルメス(高橋和也)からの提案で、家族から受取拒否されたノリピーの亡骸を実家まで届けようと企てて……。
「ミスコンの女王」と呼ばれたトランスジェンダーの半生を描く『ダイ・ビューティフル』
東京国際映画祭のコンペティション部門で最優秀男優賞と観客賞を受賞した『ダイ・ビューティフル』(2016年/フィリピン)は「ミスコンの女王」と称されるトランスジェンダー、トランストリシャ・エチェバリアの半生を描いた笑いあり涙ありの物語。
ある日突然、「ミスコン女王」と呼ばれたトランスジェンダーのトリシャ・エチェバリアが急死した。
トリシャの遺言には、幾夜にもわたって行われる埋葬前の儀式中、日替わりで多種多様なセレブの装いに扮したいと綴られていた。トリシャの友人たちは、自分らしく美しくあろうと努力を重ね続けたしトリシャの人生を思い出しながら、彼女の希望を叶えるために奔走し……。
女の子になりたい男の子を描くハートフルストーリー『ぼくのバラ色の人生』
『ぼくのバラ色の人生』(1998年/フランス)は、女の子になりたいと願う男児の姿を描いたハートフルストーリー。
スカートをはいてお人形さん遊びをする7歳のリュドヴィックは(ジョルジュ・デ・フレネ)女の子になって男の子と結婚することを夢見ている。
無邪気なリュドに対し周囲の人々は好奇の視線を向け、次第に拒絶しはじめる。しかし、リュドの父・ピエール(ジャン=フィリップ・エコフェ)と母・アンナ(ミシェール・ラロック)だけは理解を示し、世間の偏見や差別から息子を守ろうとするのだった。
ゲイカップルが偽装結婚することからはじまる三角関係『ウエディング・バンケット』
『ウエディング・バンケット』(1993年/台湾・アメリカ合作)は、中国の伝統的思考やゲイ問題、国籍問題や親子関係などを斬新なタッチで表現したヒューマンドラマ。
台湾出身のウェイトン(ウィンストン・チャオ)はアメリカに帰化してビジネスで成功を収め、恋人のサイモン(ミッチェル・リヒテンシュタイン)と同棲している。そんな折、息子がゲイだとは思いもしない両親が渡米することとなり、ウェイトンは両親を安心させるため、ウェイウェイ(メイ・チン)との偽装結婚に踏み切るが……。
バイセクシャルの博士が登場するロックンロールミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』
リチャード・オブライエンのミュージカルを映像化した『ロッキー・ホラー・ショー』(1975年/イギリス)は、カルト映画として名高いロックンロールミュージカルの名作。
婚約したてのカップルであるジャネット(スーザン・サランドン)とブラッド(バリー・ボストウィック)は激しい雷雨に見舞われ、雨宿りのためにフランケンシュタイン城を訪れる。
城内のあまりの気味の悪さに早くも逃げ出そうとするふたりの前に、この城の主であるバイセクシャルのフランクフルター博士(ティム・カリー)が出現。
博士が「ロッキー・ホラー」という人造人間を披露すると、それを見たジャネットは人造人間の完璧な体躯に惚れ込み……。
偏見や差別に立ち向かうトランスジェンダーの姿を描く『ナチュラルウーマン』
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『ナチュラルウーマン』(2017年/チリ・アメリカ・ドイツ・スペイン合作)は、自分らしく生きるため偏見や差別に立ち向かうトランスジェンダーの女性を描いた映画。
昼間はウェイトレスとして、夜はクラブシンガーとして暮らすトランスジェンダーのマリーナ(ダニエラ・ベガ)は、年齢の離れた恋人・オルランド(フランシスコ・レジェス)と同棲していた。
しかし自身の誕生日の夜、オルランドは自宅ベッドで意識不明となり命を落としてしまう。
オルランドの死によって思わぬトラブルに巻き込まれたマリーナは、自分らしく女性として生きる権利を求め、偏見や差別と戦う決意をする。
息子を亡くした母親が悲しみを乗り越えるまで『オール・アバウト・マイ・マザー』
アカデミー賞における最優秀外国語映画賞を受賞した『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999年/スペイン)は、巨匠ペドロ・アルモドバル監督がメガホンをとった感動作。
シングルマザーのマヌエラ(セシリア・ロス)は女手ひとつで小説家志望の息子・エステバン(エロイ・アソリン)を女手一つで育ててきた。エステバンの17歳の誕生日、マヌエラとエステバンは女優ウマ・ロッホ(マリサ・パレデス)の主演舞台を観に出かけたが、終演後ウマからサインを貰おうとしたエステバンが交通事故にあい、帰らぬ人となってしまう。
最愛の息子の死を元夫に知らせるためバルセロナを訪れたマヌエラはひょんなことからウマの付き人となり、ウマの恋人であるレズビアンで妊娠中のシスター・ロサ(ペネロペ・クルス)と同居を開始。そして、ロサが妊娠しているのはマヌエラの元夫の子であると判明し……。
ボーイッシュな女の子の成長ドラマ『トムボーイ』
ベルリン国際映画祭においてテディ賞審査員賞を受賞した『トムボーイ』(2011年/フランス)は、ボーイッシュな女の子(=トムボーイ)の成長を描いた物語。
ボーイッシュなおてんば娘・ロール(ゾエ・エラン)は田舎への引っ越しを期に、近所の子供たちに対しありとあらゆる手段を使って自分は男の子であると思い込ませていた。
そのうち同年代の少女・リザ(ジャンヌ・ディソン)がロールに恋心を寄せはじめ、ロールはリザからの気持ちをどう受け取れば良いものかと思い悩む。
それでもなお男の子としての振る舞いを続けるロールと家族との間には、次第に亀裂が生じはじめ……。
同性の愛人を作った夫との愛の終わり『メーキング・ラブ』
『メーキング・ラブ』(1982年/アメリカ)は、夫に男の愛人ができたことで破局を迎える夫婦の姿を描いた作品。
ロサンゼルス在住の医師・ザック(マイケル・オントキーン)は美しい妻のクレア(ケート・ジャクソン)と結婚して8年を迎え、幸せな日々を送っていた。幸福な生活の一方で、性的に満たされないザックは、あるときゲイのバート(ハリー・ハムリン)と一夜を共にするが、男性同士の性交がそれほど良いとは思えず落胆。
しかしながら、バートとの関係は親密になる一方で……。
新婦が同性に恋したことからはじまる四角関係の顛末『四角い恋愛関係』
『四角い恋愛関係』(2005年/アメリカ・イギリス・ドイツ合作)は、新婚女性が結婚式で出会った女性に恋したことからはじまる、新妻の夫とその男友達も含めた四角関係を描くラブコメディ。
恋人・ヘック(マシュー・グッド)と結婚したレイチェル(パイパー・ペラーボ)は、結婚式の当日に会場で花を担当をしていたルース(レナ・ヘディ)に恋してしまう。
さらに、式に参加していたヘックの友人・クーパー(ダーレン・ボイド)もルースに一目惚れ。なんとかルースに近付こうとするクーパーだったが、当のルースはレズビアンで、彼女もまたレイチェルに想いを寄せていた。
優しい夫・ヘックをよそにルースと惹かれあい、レズビアンの道へとひた走るレイチェルだったが……。
ドラァグクイーンが登場する伝説的ミュージカルを映画化『RENT/レント』
伝説的なブロードウェイミュージカルを映画化した『RENT/レント』(2005/アメリカ)はプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」をテーマに、ニューヨークのイースト・ヴィレッジに集う若者たちの青春を描いた作品。
ミュージシャンとしての成功を夢見る野心家・ロジャー(アダム・パスカル)は、恋人の死に直面し打ちひしがれていた。やがて階下にの住民であるダンサーのミミ(ロザリオ・ドーソン)に惹かれはじめたロジャーは、彼女との恋になかなか踏み出せず苦悩するが……。
2019年以降もLGBT映画から目が話せない!
今回紹介したレズビアン向け映画32作品、ゲイ向け映画27作品、トランスジェンダー・ドラァグクイーン・その他向け映画31作品の全90作品はほとんどがDVD化されているため、気軽に視聴することができる。
また前述のとおり、2019年以降もLGBTをテーマに扱った新作映画は続々上映を控えているので、当事者はもちろん興味のある方は上映情報をこまめにチェックしておこう!