音楽グループ「AAA(トリプルエー)」のメンバー、與真司郎(あたえ・しんじろう)さんが26日、東京都渋谷区でファンに向けたイベントを開き、自身がゲイであることをカミングアウトした。
カミングアウトに至るまで
会場のファンに見守られながら、自身がゲイであることをカミングアウトした與は、カミングアウトをするに至るまでの苦闘について語った。
「カミングアウトを決意するまでに、すごく時間がかかりました。自分ですら、自分のセクシュアリティを、受け入れることができませんでした。もし自分が、ゲイだということを認めてしまったら、今度は、世の中が自分のことを、
アーティストとして、認めてくれないのではないかと、恐怖を感じることもありました。」
そして、カミングアウトする自身なりの意味や目的についても、明らかに示した。
「でも、悩みに悩んだ結果、ファンのみなさんをはじめ、僕が大切にしている全ての人たち、そして僕自身のためにも、本当のことを受け入れ、それをしっかりとみなさんに伝えることが、僕なりの誠意だと思いました。」
「そして、僕と同じ境遇に置かれている方々にも、勇気を持つきっかけにしてもらいたかった。自分は一人ではないということを、わかってほしかったんです。」
“自分はおかしい”と思った幼少期
さらに、與は自身の幼少期に経験した苦しい思いについて語った。
「今振り返れば、昔からその認識はあったような気がします。僕が子供の頃、テレビでは、LGBTQ+のことを、面白おかしく取り扱っている時代でした。」
「もちろんその頃は、今みたいにインターネットが普及していなかったので、自分のセクシュアリティーについて、疑問を持ったとしても、そのことについて知る機会が、ほとんどありませんでした。だからその頃は、“自分が間違っているんだ”、“自分はおかしいんだ”と思っていました。誰かにこのことを相談することもなく、自分の感情を押し殺していました。」
そんな中、14歳でエンターテイメントの世界に入った與は、多忙な日々に自分の疑問や悩みがかき消される一方で、どこかで、自分は一人ぼっちかのような感覚だったと語る。
自分と向き合えたキッカケ
そのような生き方をしていては、精神的にも影響が出ると感じた與は海外移住を決意。
移住先で見かけた光景に衝撃を受ける。
「海外に行き始めた頃の話ですが、ある日、男性同士が街中でキスをしているのを見て、僕は衝撃を受けました。周りの人達で彼らの行動を気にしている人は、誰もいませんでした。その時初めて、自分は1人じゃないんだと、どこかホッとしました。LGBTQ+の人でも、堂々と幸せになる道はあるんだと、希望が湧いてきました。」
そこで與は、「完全に自分のセクシュアリティーを受け入れるには、そこからさらに時間がかかった」と語った上で、この出来事がキッカケで、「LGBTQ+であろうと、どんな人間でも、“幸せに自分らしく生きる権利があるんだ”、と気づき、自分と向き合っていくようになった」と語る。
“あなたは絶対に一人じゃない”
前述のとおり、今回カミングアウトした目的として與は、「 僕と同じ境遇に置かれている方々にも、勇気を持つきっかけにしてもらいたかった。自分は一人ではないということを、わかってほしかった。」 と語っている。
日本社会の現状について與は、 LGBTQ+の自殺者に関する統計に触れた後、「同性や、どちらの性にも向いているというだけで命を絶つ必要があるのでしょうか。」と、力強く疑問を呈した。
そして、僕でさえ受け入れるまでに時間がかかった、みなさんにとっても時間がかかることだとしながら、今も一人で抱え込み、同じように悩んでいる人たちに向け、 激励の言葉を贈った。
「あなたは絶対に一人じゃない。僕も、あなたのことを全力で応援します。同じ悩みを抱えていた、一人の人間として、LGBTQ+の方々には、胸を張って、堂々と生きていってほしい。 」
「希望はあると思いますし、世界は変わってきていると思います。何事も、ネガティブなことでも、みんなで力を合わせれば、ポジティブなことに変えていけると思います。 」
「今は誰もいないと思っていても、支えてくれる方は、“必ずいます”。」
さらに、與自身のホームページにLGBTQ+に関するリンクがあることを説明しながら、一人ではないというメッセージを強調して伝えた。
手紙を読み終えたあと、大きな拍手に包まれる中、涙を浮かべながらファンや家族、友人、スタッフ、メンバーに感謝を述べた。
また、これからの音楽活動や、自身がメンタルヘルスについて発信することを通じて、辛いトラウマを乗り越えた経験や、今実際、人生で葛藤している方々を勇気づけたいと語った。
あとがき
日本では、LGBTを公表している芸能人はいるが、こうして自身のセクシュアリティについて触れずに活動してきたアーティストがカミングアウトすることは、日本では稀だ。
海外のモデルや俳優、アーティストのカミングアウトと異なり、より身近に「自分事」としてメッセージが届いた人も多いのではないだろうか。
これを筆頭に、これから多くのロールモデルが日本にも誕生し、凝り固まった社会認識へ挑戦できる時代がくることを願う。
男性同士の真剣な出会い探しは
ゲイ専用結婚相談所ブリッジラウンジ