【中国】プライド月間 当局からゲイへ抑圧

プライド月間 上海プライド中止

ゲイやレズビアンなどLGBTQ(セクシャルマイノリティ、性的少数者)の権利を啓発し、誇りをたたえるプライド月間の6月、日本国内および世界中でさまざまなイベントが行われた。

しかし、中国では今回のプライド月間において大きなイベントなど目立った催しが行われていない。

中国最大のプライドイベント「上海驕傲(上海プライド)」は、2021年以来中止となっているが、「今後予定されているすべての活動をキャンセルし、今後のイベントを予定することも休止する」のみ発表しており、中止の理由は明らかにされていない。

中国では、政治的抗議に参加した人は処罰されることが多いため、上海プライドではパレードの代わりとして、ダンスパーティーやマラソン大会、映画上映会などが開催されていた。

現在では、比較的認知度の低いイベントやLGBTコミュニティーのみ残されており、雑誌モデルのポージングから着想を得た「ヴォーギング」のダンスパーティーなどが一例として挙げられる。

また、活動を中止した主要なLGBTQグループは上海プライドだけではなく、他の団体もここ数年で休止を余儀なくされている。

世界第二の経済大国で、権利活動が抑圧される恐れが今、高まっている危機的状態だ。

中止を余儀なくされるLGBTQイベント

中国のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」において、2021年、LGBT関連のトピックをあつかうアカウント数十件が削除された。

同年、LGBTコミュニティーを代表して訴訟を起こしていた団体も活動を休止し、団体の創設者は当局に拘束され、釈放条件として団体休止を求められた。

そして、「北京同志中心(北京LGBTセンター)」は今年5月、「自分たちの手に負えない力」によって活動休止と発表した。

上海プライドの共同創設者の彭雷氏は、「北京LGBTセンターの閉鎖によって、中国に最後に残されていた大規模なLGBT組織が休止することになった」と話している。

なお、彭氏は、上海でのプライドイベントの休止後、中国を離れている。

マッチングアプリ「Blued」は

ゲイやレズビアンなど同性愛向けのマッチングアプリ「Blued」を立ち上げた馬保力氏は、20年近く勤めた警察をやめたのち、ブルーシティーの経営を担っている。

引用:Blued

同社は、2020年にハイテク株中心の米ナスダック市場に上場し、LGBTソーシャルネットワーク企業としての上場は世界初であった。

しかし2022年8月、同社は上場を取りやめ、馬氏は後継者を指名せずに、会長と最高経営責任者(CEO)を辞任している。

LGBTQの権利

英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のティモシー・ヒルデブラント准教授は、「社会的および家族的差別のある国々では、こうした問題はさらに深刻化する。」と指摘する。

なお、上海プライドの彭氏は、中国を離れた現在も、同国のLGBTコミュニティーを支援してており、以下の口述を残している。

「過去10年にわたり上海プライドを運営してきたが、現在は限られたイベントしかない。私も他のコミュニティー組織を支援したり、そのイベントに参加したりする機会が増えた」

「草の根活動も、個人や企業も、まだそれぞれの領域で声を上げられるし、コミュニティーやアライ(ally=理解・支援者)への働きかけを創造的に行うことができる」
現在、同性婚はヨーロッパや南北アメリカを中心に34の国と地域で認められており、アジアでは唯一、台湾で認められている。

台湾では2019年に法制化され、これまで1万組以上の同性カップルが結婚、外国籍の同性との結婚も可能となっている。

台湾では1990年代から、LGBTQの権利向上を求める運動が活発になり、2017年には、ゲイやレズビアンなど同性同士の結婚を認めない民法は憲法違反という司法判断がくだり、法制化に至った。

LGBTQ、同性婚について、自分が理解できる・できない、あるいは共感できる・できないに関わらず、同じ人間である限りは権利は平等に与えられるべきではないだろうか。

LGBTQ、性的少数者というマイノリティーであるを理由に、基本的人権が抑圧される中国の現状は自国問わず危機感を持つべきだろう。

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