性自認は女性であるにもかかわらず、上司から男性として扱われ、うつ病になったとして、神奈川県の大手メーカーの40代社員が15日、労災申請したことを明らかにした。
性的指向や性自認についてのハラスメントである「SOGI(ソジ)ハラ」だと訴えている。
「SOGIハラ」はSexual orientation and gender identity(性的指向及び性自認)についてのハラスメントのことで、「ソジハラ」または「ソギハラ」と読みます。
性的指向とは、自身がどの性の人に恋愛感情を抱くかという、感情の方向性のことをいい、性自認とは、自身がどの性に属しているかという認識のことを言います。
こういった性的指向や性自認について嫌がらせを行うことを「SOGIハラ」と言います。
例えば、「ホモ」「レズ」などと言って相手を侮蔑することはもちろんのことですが、「あの人、しぐさがホモっぽい」などと嘲笑することもSOGIハラです。
また、性自認は男性の方に対して、戸籍や身体上の姓が女性であることをもって、職場で女性の服装を強要することもSOGIハラに該当しますし、本人の了承を得ずにその者が公にしていない性自認や性的指向を暴露すること(アウティング)もSOGIハラです。普段の会話の中や飲み会の席等で、面白半分で「ホモ」や「レズ」などと聞いたことはないでしょうか。
SOGIハラに該当するかは、その他のハラスメントと同様に、それを受けた人が「嫌だ」と思ったかどうかで判断されます。
先ほどの例でいくと、「ホモ」や「レズ」と言った本人は何とも思っていなくても、それを聞いた人の中で、不快な思いをした人がいれば、それはSOGIハラです。いくつか例をあげました。確かに、セクシュアルマイノリティがSOGIハラの被害を受けやすい傾向にはありますがSOGIハラはセクシュアルマイノリティだけの問題ではありません。誰しもが有している性的指向と性自認に関わる問題です。
引用:東京弁護士会
東京都内で記者会見した社員によると、7~8年前に性同一性障害の診断を受けた。
2017年11月に会社側へ性自認を伝え、部署を異動した。直後から上司にあたる男性社員に他の社員の前で「彼」と呼ばれ、「女として見られない」などの侮辱を受けるようになった。やめるように求めても繰り返されたという。翌18年春から体調を崩し、冬にうつ病と診断されて会社を休んだ。
21年に職場復帰しようとしたところ、引っ越しが必要な遠隔地への転勤を命じられた。個人で加盟できる労働組合を通じて会社と交渉し、今月からは引っ越しも不要な、休職前と異なる職場に復職した。
「SOGIハラ」労災認定の動きも
社員は会見で「会社も上司の発言をハラスメントとは認めてくれなかった。労災と認定されれば会社や世の中の意識も変わるかもしれない」と話した。
ハラスメントへの視線は厳しくなっている。
20年6月に改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行。これに先立ち、同年5月から労災認定の基準として、被災者の「心理的負荷」を評価する項目にパワハラが加わった。
企業向けの指針では「性的指向・性自認に関する侮辱的な言動」も精神的な攻撃の例に挙げられた。
こうした流れを受け、「SOGIハラ」が労災に認定される事例も出始めているとのことだ。
ハラスメントとは
ハラスメントは、引用の通り言動を受けた人が不快に思ったことである。
嫌なことを嫌と言えるように罰則が科せられるようになったが、周りの目や今後の会社での立ち位置を考えると訴訟も起こしにくいのが現状である。
今回のニュースでの会社、上司の言動は非常に非人道的である。
しかし、悪意無く発してしまうこともある。多くの場合は無知が故のことだ。
配慮ではなく、歩み寄る努力と相手を知ろうとすることが人間にとって、もちろん私にとっても必要である。
参考文献
・朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASP9H5KGMP9HULFA005.html