横浜市の林文子市長は、年内スタートを目指し同性パートナーシップ証明制度を導入することを明らかにした。
県内では横須賀、小田原の2市が同様の制度を導入している。
今後は2市と同様、自治体の事務の目的や手順を示した「要綱」に基づく方式を採用する考えで、市役所内で宣誓書に署名したカップルに受領証などを発行することを想定している。
対象に事実婚カップルを含めるかなど具体的な内容は現在、検討中。
横須賀、小田原含め、全国26自治体で取り入れられている同性パートナーシップ証明制度。
相続や社会保障などの面で法的効力はないが、パートナーと認められることで病院の緊急面会など行いやすくなる。
そして今回は、全国の市町村で人口が最も多い政令指定都市である横浜市が同性パートナーシップ証明制度の導入を決めたことで、差別や偏見の解消、支援の拡充が全国に波及するのではないかと期待されている。
導入される自治体も急速に増えてきたことは大変望ましいが、同性パートナーシップ証明制度はあくまでも同性婚の代わり。
・パートナーシップ制度のある自治体で暮らす必要がある
・パートナーシップの証明書申請を渋谷区で行うと、約8万円の費用がかかる。(渋谷区以外の自治体では無料)
・転居する場合は証明書を自治体へ返還
パートナーシップ制度には不便さもあり、当然得られる権利を同性カップルというだけで得られないことは多く、やはり同性婚の合法化が待ち遠しい。
「同性婚」というと、異性愛者にとっては全く関係のない話だと捉えているかもしれないが、決してそうではない。
同性愛者の結婚が世界で初めて国民投票により合法化されたアイルランドでは、数年前同性婚を挙げた異性愛者が話題になった。
マット・マーフィーさん(83)と、彼を長年介護してきたマイケル・オサリバンさん(58)。
2人はゲイではなくノンケ。
マーフィーさんとオサリバンさんは、30年もの間、親しくしてきた。
オサリバンさんは過去に、女性と結婚した経歴もある。
イリッシュタイムズによると、オサリバンさんはかつて、マーフィーさんと同じ会社でコンピューターの技術者をしていたが、不景気の間に家を銀行にとられ、ホームレスになったことがある。マーフィーさんは視神経に影響を与える巨細胞性動脈炎を煩い、苦しんでいた。
オサリバンさんはしばらく彼の所で過ごしていたそうだが、マーフィーさんから『ここにいたらどうだい?』言われたという。
だが、マーフィーさんは、オサリバンさんを介護者として雇うほどの経済的余裕はなかった。
マーフィーさんがオサリバンさんを雇うためには、持ち家を渡すしかない。
そうすれば介護者としての仕事にお金を支払うことができ、マーフィーさんが亡くなってもオサリバンさんは住むところを失わずに済む。
しかし、そうすると5万ユーロ(約670万円)もの相続税がかかることになり、結局納税のために家を売らなければならないことになる。
そんな悩みを抱えていると、マーフィーさんは、友人から
「2人が結婚すればいい」
と言われた。
そして彼は1晩そのことを考えて、オサリバンさんにプロポーズした。
配偶者になれば、相続税が非課税になる。
巨額の相続税を払わずに、確実に家を残す方法として、マーフィーさんとオサリバンさんは、結婚という手段を選んだ。
オサリバンさんは、アイルランドの性的少数者のコミュニティに敬意を示している。
「ゲイやレズビアンたちは人生の大半で差別を受けながらもこの国のために懸命に闘い、彼ら自身のためだけでなく、他の皆のための平等を得たのです」
この一例のように、同性婚は同性愛者だけのものではない。
生き方の多様性が尊重される中、多様な選択肢も今後はさらに必要であるように思える。