台湾でレズビアン市議誕生!しかし住民投票では「同性婚反対」多数に

2018年11月24日に開催された台湾の統一地方選挙にてMiao Poya(苗博雅)氏、そしてLin Ying-Meng(林穎孟)氏ら2名のオープンリー・レズビアン市議会議員が誕生した。

同じ選挙区から出馬し共に当選した両名はかつて交際していたといい、世界のLGBTやALLYにとっては喜ばしいニュースとなった。

そんな折、同日開催された同性婚認可の是非を問う住民投票では暗雲が垂れこめた。

前2017年5月には司法最高機関にあたる司法院大法官会議にて「同性同士での結婚を認めない民法は憲法に反する」と判決が下されたことで、「アジア初となる同性婚認可」へ大きな一歩を踏み出したとみられた台湾。

しかし、今回の住民投票ではLGBTおよび同性婚反対派の意見が賛成派を上回り、台湾における同性婚認可への道は一歩後退した形となる。

2015年の世論調査では台湾国民のなんと71%が同性婚に賛成していたほか、今年開催された第16回台湾同志遊行(台北LGBTプライド)では会場に過去最多記録となる約13万7000人もの参加者が集うなど、同性婚成立への機運の高まりを感じさせるなか、反対派の声が賛成派を圧倒したことは各国のLGBTやALLYたちを悲しませる結果となった。

アジア初となる同性婚成立のための民法改正に関するこうした不穏な動きは、2017年頃から見られていた。

同12月、台湾の立法院(国会)では国民投票や住民投票について定めた「公民投票法」改正案が可決され、投票実施のハードルが大幅に下がったことで投票案の発議が相次ぎ、同性婚反対を掲げるキリスト教系団体が次の3つの投票案を提出。

(1)結婚は男女に限定すべきである

(2)同性カップルには結婚とは別のパートナー法で対応すべきである

(3)義務教育でLGBTについて教えるのは止めさせるべきである

同性婚反対派であるキリスト教系団体の3つの投票案に対し、同性婚支持派は対抗する3つの投票案を提出。その結果、次の2つの投票案が可決された。

(1)民法の婚姻の規定を改め、同性二人が婚姻関係を築くことを支持すべきである

(2)ジェンダー平等教育法に基づき義務教育上でLGBTについて教えるべきである

これを受けて10月27日に開催された第16回台湾同志遊行(台北LGBTプライド)では「性平攻略由你説、人人18投彩虹」(18歳になったら投票に行こう)をテーマに掲げ、同性婚賛成派に票を投じるよう広く呼びかけを行ったほか、11月18日には総統府前広場にて婚姻の平等を求める集会が開かれ、およそ10万人が集結。

また、ベネチア国際映画祭でグランプリにあたる金獅子賞を獲得した世界的巨匠でゲイを公表しているツァイ・ミンリャン(蔡明亮)監督が中華圏における代表的な映画祭「金馬奨」にて自身の初恋エピソードを語るなど、同性婚の支持を表明。

投票前日である11月23日には、台湾の歌姫・アーメイ(張恵妹)やジョリン・ツァイ(蔡依林)らがSNS上で同性婚賛成派への投票を呼びかけ、そのほか俳優のヨウション(宥勝)やMCのミッキー・ホアン(黄子佼)、人気ユニットS.H.EのメンバーであるEllaやオープンリー・ゲイであるタレントのツァイ・カンヨン(蔡康永)など、そうそうたる芸能人や著名人が同性婚支持のため声明を発表した。

こうしたLGBTやALLYたちの努力も虚しく、今回の住民投票では「結婚は男女に限る」こと、「同性カップルには民法における婚姻規定以外の方法で対応する」こと、「義務教育でLGBTについて教えることはやめる」ことという、3つの反対意見が可決された。

台湾政府は住民投票の規定により、3ヵ月以内に上記の内容を踏まえた新規法案を国会に提出する必要がある。

つまり今後の台湾では同性カップルの結婚のために民法を改正することは認められず、新たにパートナー法の制定することで結婚の代替とすること、そして小中学生に対してはLGBTに関する教育を行わない方針の施策がとられることとなる。

もともとLGBT に対して寛容とされてきた台湾で、同性婚反対意見が多数となった要因のひとつとしては、反対派団体が資本に物を言わせ新聞やコマーシャルなどで大々的にネガティブキャンペーンを打っていたことが挙げられる。

事実、2008年のアメリカ大統領選挙ではカリフォルニア州での同性婚を禁止するか否かの住民投票が行われ、同様のケースで同性婚が成立しなかった過去があった。

また、そもそもマイノリティの権利を求める問題をマジョリティが多数を占める住民投票で決定することを疑問視する声も。

しかしながら、今回の住民投票で台湾における同性婚が阻止されたわけではない。

前述の2017年5月の司法院大法官会議で2019年5月までに同性婚が実現することは決定されており、そのための方法が民法改正ではなく新しい法律の制定に限定された形となる。

あくまでも結婚は同性間にのみ適用されるものであり、同性間では結婚とは異なるパートナー法をあてがうというのが今回の決定事項だが、残り半年まで新法が成立しない場合は憲法解釈により現行の民法のまま同性婚が暫定的に認められる可能性も。

台湾における同性婚認可の行方には今後も注視されたい。


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