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日本学術会議として初「性的マイノリティの権利保障」を取り上げる!

1. 日本学術会議として初「性的マイノリティの権利保障」を取り上げる!

日本学術会議という機関をご存知ですか?日本学術会議は、日本全国約84万人の科学者の代表機関で、他から独立して職務を行う「特別の機関」として内閣府に設立されている。

その職務は、

・ 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること
・ 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること

で、以下の4つの活動を柱としている。

(1)政府・社会に対する提言等
(2)国際的な活動
(3)科学リテラシーの普及・啓発
(4)科学者間ネットワークの構築

その科学者の代表機関である日本学術会議が、2017年9月に「性的マイノリティの権利保障をめざして」という「提言」を提出している。

提言要旨は2ページでまとめられ、また用語解説もついている。

そのため、日本のLGBTの人々が直面する困難や、今後の権利保障の在り方について知るための、非常に有用な資料だといえる。そもそも、日本学術会議の提言等は、政府だけでなく国民に向けられた活動でもある。

そのため、読みやすい記事を作成しなければならないことが規定されており、要旨をさらに1ページにまとめた「ポイント」も作成されている。

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2. 権利保障への提言をまとめると!

この提言では、「性的マイノリティ権利保障/差別禁止法」という根拠法の制定を求めている。またそれと並行(あるいは先行)し、既存の関連法等の改正も求める。以下、「提言」がまとめる、婚姻、教育、労働における権利保障のあり方を見てみよう。

(1)「婚姻の性中立化(性別を問わないこと)に向けた民法改正の必要性」

「提言」は、現代の日本社会の家族の多様化や、欧米諸国の動向を考えると「婚姻の性中立化は必須であり、そのための民放改正が求められる」としている。

具体的には、共同生活を保障する同性パートナーシップ法の制定、それと並行し、民法に「異性または同性の二人の物は、婚姻することができる」という条文を新設することを求めている。

(2)「教育機関における性的マイノリティの権利保障に向けた課題」

「提言」は、当事者が安心して学べる環境づくり、「学ぶ権利」の保障や、教育機関における性別記載の際に、「Xジェンダー」等の記載を認めることを求める。

トイレ使用やその設計、体育・健康診断への配慮、カウンセリング体制の充実や専門医との連携、ハラスメント防止のための啓蒙活動の実施も求めている。

生徒の入学・在籍保障、また生徒だけではなく教員・研究者の権利保障も必要だとする。

以上を実現するための、文部科学省による教育上の配慮に関するガイドラインの策定、文部科学省、各教育機関、教科書出版社による教科書の改訂および学習指導要領の見直し、各教育機関による啓発研修の実施を提言する。

(3)「雇用・労働における性的マイノリティの権利保障に向けた課題」

「提言」は、性的マイノリティに対する理解の不十分、性自認を原因とした内定取消し、トイレ・更衣室の利用制限、手当あるいは社会保険の支給対象として同性パートナーは考慮されないことが問題だととらえる。

 

このため、雇用・労働において、このような性を理由とした不利益が生じないための法律の制定、法律の制定が容易でないとすれば、厚生労働省を中心としてガイドライン策定を求めている。

また各事業体に対して、LGBTの人たちに対する理解増進や、福利厚生への配慮を求め、ハラスメント防止対策の徹底が喫緊の課題だとしている。

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3. 私見-婚姻についての歯切れの悪さ。ただし、全体としては適切!

私が大学法学部に在籍していた当時のゼミ担当教員が、日本学術会議のある提言の幹事になった。その際、提言に関する自身の調査・研究と、他の幹事たちの取りまとめですさまじく忙しそうにしていた記憶がある。

日本学術会議は、冒頭で書いたように日本の全ての科学者(研究者)の代表機関であり、その提言のためには、包括的かつ詳細な調査が求められるのだと思う。

さて、その日本学術会議が昨年9月に初めて「性的マイノリティの権利保障」について提言を行っている。「性的マイノリティ」という呼称は、必ずしも「マイノリティ」ではない現状を鑑みて、「提言」自体もその呼称の問題性に言及している。

結局、行政文書で使用されていることから、「LGBT/LGBTI」ではなく、性的マイノリティの呼称を使用することにしたとある。

この点、私見としては、それでもやはり「性的マイノリティ」の呼称は使用するべきではなかった。なぜなら、LGBTの用語自体最近では、その頭文字のセクシャリティ以外の性別も含まれることも含意しているからである(LGBTQIA…と無限に続く可能性)。

ドイツではとりわけその意味を持たせるためにLGBT*と星印をつけたりする。

また「提言」自体も述べるように、人数・割合の上でもはやマイノリティとは言えないことが調査から分かっている。あるいは、人間の性自体が非常に多様であることを示す種々の研究結果が存在する。

「提言」が考える根拠法の策定においても、性を理由にした差別禁止と、多様な性の権利保障が法の趣旨のはずだ。

「提言」は、2016年におけるLGBT法連合会、自民党、そして民進党など野党四党のLGBT権利保障に対する法案が進展していないこと、また以上3つの法案が、同性カップルの婚姻に関する権利保障には踏み込んでいないことを指摘している(p.8)。

しかし、「提言」の方も、婚姻に関して何とも歯切れの悪い表現が見られる。

「提言」は、同性パートナーとの共同生活を保障するための同性パートナーシップ法制定と並行して、「国内世論の動向に鑑み、民法に『異性または同性の二人の者は、婚姻をすることができる』との条文を新設」(p.19)するのがよいとする。

しかし、あらゆる性の者に婚姻関係が認められれば、パートナーシップ制度の存在意義はほぼ失う(「権利保障のため、まずはいち早くパートナーシップ制度を導入すること」と捉えれば、まだパートナーシップに対する意義も出て来るが)。

実際ドイツでは、昨年10月の同性婚法施行以後、法的なパートナーシップを築くことができなくなった。

しかし、全体としてこの「提言」は、LGBTIの人びとをとりまく日本社会の課題と、権利保障の必要性・方向性を知るうえで極めて重要な資料だと思う。興味がある方は、是非ダウンロードしてみてほしい。

 

光之介 (1)


▼URL等(参考資料)

提言
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23- t251-4.pdf
ポイント
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23- t251-4- abstract.pdf

幹事会(23期)
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/index23.html

第251回幹事会議事要旨
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf23/giji251.pdf

日本学術会議とは
http://www.scj.go.jp/ja/scj/index.html

ドイツLGBT用語(南ドイツ新聞)
http://www.sueddeutsche.de/leben/glossar-lgbt- was-ist-das-1.3091327

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