小学校教諭が放った「誰だオカマは」という発言が今問題となっている。
この発言がされたのは埼玉県の私立小学校。クラスにはLGBTsの児童一名とその双子のきょうだいが在籍しており、児童が帰宅後両親に相談をしたことで問題が発覚した。
今回の「誰だオカマは」という発言自体は、男子生徒がふざけて女性のような声色で音読をしていたことに対して注意をする際に出てしまったものであり、LGBTsの児童に対するものではなかったという。
しかし、LGBTsの児童は入学時点で学校やクラスメートに対してカミングアウトをしており、発言をした男性教諭もそのことを認知していた。LGBTsの当事者がいることを認知した上でのこの発言は明らかに教諭の配慮不足が問題であり、教育現場におけるLGBTsへの理解不足が浮き彫りとなった。
今回に関してはLGBTsの児童がカミングアウトをしており、両親に相談をしたことで問題が発覚したが、ほとんどのLGBTs当事者はカミングアウトができておらず、差別的発言が黙認されている場合が多く存在する。
実際にLGBTsの子どもは差別やいじめを受けている割合が高く、宝塚大看護学部の日高庸晴教授によって行われたLGBTs対象の調査においてはLGBTsの65.9%が自殺を考えてたことがあると回答した。
クラスの1~2名はLGBT当事者であると言われている中でこの調査結果は見過ごせないものとなっており、教育現場でもLGBTsへの関心が高まっている。
同教授によって行われた教員を対象とした調査では「教育の現場で教える必要があると思いますか?」という質問に対して半数以上が「必要」と回答。「性の多様性に関する研修があったら参加したいですか?」という質問に対しては60%以上が「はい」と回答しており、教員のLGBTsに対する関心の高さが伺える結果となった。
しかし、その反面で「性的指向は本人の選択によるものだと思いますか?」という教員の知識を問う質問では、約40%が「そう思う」と回答し、約30%は「わからない」と回答した。
性的指向は選択や修正ができるものではない。調査から教員の中でLGBTsに関する正しい知識を有している人が少ないということも明らかになった。
今回の小学校教諭による「オカマ」という発言も知識不足な部分があったのではないかと十分に考えることができる。「オカマ」という言葉はテレビ等で多用されており、自身のことを「オカマ」と呼んでいる芸能人もいる。当事者が「オカマ」という言葉を使用することで差別的な言葉であるという認識が薄れていたということもあるのではないだろうか。
とはいえ、知識不足だから仕方ないと放っておける問題ではなく、教員や児童など周囲の人間がどのような言葉がLGBTsの人を傷つけてしまうのかということを理解することが求められている。
教育現場におけるLGBTsへの理解の促進は近年になり始められつつある。
2016年4月には文部科学省から「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)」という教職員向けのLGBTsの生徒への対応方法を記したパンフレットが発行された。
このパンフレットでは性同一性障害の生徒に対するトイレや制服の使用に関する対応が記載されており教員側の理解を促進するものとなっている。
また、今年には高校の家庭科の教科書でもLGBTsが紹介されるなど教師だけではなく生徒へのLGBTsの理解も進められ始めており、来年度には政治・経済、世界史、倫理、英語の5科目においてもLGBTsに関して記載がされることが決定している。
近年になり教育現場でもLGBTsへ関心は高まっており理解の促進も大きく進んでいる。今後は教員を含め生徒もLGBTsが身近な存在であることを認識し、正しい知識を身に着けることが求められている。
(写真はYahooニュースより)