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アメリカ合衆国では昨年から、出生時の性別と同じ性別のトイレを使用することを義務付けた「ハウスビル2」通称『トイレ法』が大きな問題となっている。『トイレ法』はノースカロライナ州の州法で2016年3月に成立した。成立直後から差別的であるとして批判を浴びており、同年の5月には『トイレ法』に反対する集会が開かれ数百人が参加する騒動となった。

『トイレ法』に対する批判は市民だけではなく、有名アーティストによるコンサートの中止や企業の投資凍結、NBAや全米大学体育協会ではノースカロライナ州での試合を別の州に変更するなど、各業界から批判やボイコットが相次いだ。結果として、同年11月に行われた知事選にて『トイレ法』反対派であるクーパー氏が当選したことで翌年3月に『トイレ法』を無効果させる法案が可決された。

『トイレ法』が無効化されたことでアメリカにおいてはトランスジェンダーの人達が自認する性別のトイレを使用できるようになったが『トイレ法』はプライバシーの保護のために必要であると擁護する意見も多く出ており、論争は続いている。

ジェンダーフリートイレ
トランスジェンダーの人達にとって利用しやすいトイレとはどのようなものだろうか?

トランスジェンダーへの先進的な取り組みが行われているタイでは「トランスジェンダー専用トイレ」の設置が進められている。

タイにおいてはトランスジェンダーが出生時の性別とは異なるトイレを使用することは禁止されておらず、以前は出生時の性別とは異なる性別のトイレを使用していた。しかし、他の利用者から冷たい視線を向けられることも多くトイレの使用がし辛い状況であったという。

「トランスジェンダー専用トイレ」はトランスジェンダーの当事者が気兼ねなく使用できるだけでなく、他の利用者から不満がでることもない。現在では大学にも設置されるなど今後さらに普及していくことが予想されている。

 

トランスジェンダー トイレ
近年になりトランスジェンダーの方に配慮したトイレの設置は日本でも進められ始めている。

日本IBMでは2015年に箱崎の本社オフィスに25か所の多目的トイレ(誰でもトイレ)を設置した。

当初はトランスジェンダーの方々から自認している性別のトイレを使用したいという声が上がったが、社内には当事者の方を直接知らない人も多く、心理的な抵抗が強かったため実現が難しかったという。

日本でもアメリカと同様にトランスジェンダーの方と同じトイレを使用することに抵抗感を抱く人は一定数いる。これは決して悪いことではなく、どうしても抵抗感を感じてしまう人がいることも受け入れなければならないだろう。

その点を踏まえたIBMの多目的トイレはトランスジェンダーの方も他の利用者もお互いに干渉することなく使用することができ、双方のストレスは少ない。

 

誰でも利用できるトイレの設置は日本IBM以外でも行われている。先月5月にはドン・キホーテがジェンダーフリートイレを設置した店舗を渋谷にオープンさせた。

同トイレはその名の通りジェンダーに関係なく使用できることはもちろんのこと、高齢者や子供連れのお客様など幅広い人たちが利用ができるものになっているという。

お子さま連れやお身体の不自由なお客さまのほか、性的指向や性自認のいかんにかかわ らず、どなたでもご利用いただけるトイレを店内に設置するなど、多様性を尊重する社会の実現に 寄与するとともに、ダイバーシティ型のまちづくりに貢献します。(ドン・キホーテグループニュースリリースより)

あえて、トランスジェンダー専用トイレにしないことでトランスジェンダーの方たちが特別視されることを防ぎ、利用しやすいトイレにすることが狙いだ。

ドン・キホーテ

 

トイレの使用に関してはトランスジェンダーの方だけではなく、他の使用者に対する配慮も必要である。

多目的トイレやジェンダーフリートイレ、タイのトランスジェンダー用トイレなど、トランスジェンダーの方だけではなく周囲の人にも配慮したトイレの設置はトランスジェンダーのトイレ問題を解決する上で有効な手段と言えるだろう。

 

 

写真はロコロコニュース、バザップ、NAVERまとめより

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