愛知ヤクルト、「性同一性障害」を公表強要

愛知ヤクルト工場の性同一性障害の社員が、カミングアウトするよう会社から強要されたとして、訴訟を起こした。

会社側は、同社員に対して、男性社員と別の更衣室を使ったり、男女双方が利用する来客用トイレの使用を認めたりする代わりに、性同一性障害の公表を要求。

会社員は、全従業員に公表させられたとして不眠や抑うつ状態になったいう。

さらに〈昨年一月にはうつ病と診断され、三月に半月ほど休職。復職すると窓や空調のない部屋で一人で作業するよう命じられたといい、会社員は「『追い出し部屋』で事実上の退職勧奨だ」と訴えている(東京新聞WEB 2016/06/20)〉とのことだった。

ここで、ヤクルト側の見解を見てみよう。

 職場での氏名の変更は本人の申し出によるもので、通称名を許可しないと拒否した事実はない。職場での公表は特別な配慮をする以上、情報を開示して他の従業員の理解を得るのが職場全体の協力体制につながるという判断から打診した。強制ではなく、本人は同意し、自らの意思と言葉で公表した。昨年三月の復帰以降の職場環境も劣悪ではない。人格権の侵害や安全配慮義務を欠いた事実はないと考えている。(東京新聞WEB 2016/06/20)

筆者が驚いたのは、CSR活動などに積極的に取り組んでいる、ヤクルトのような企業でも、このような問題が起こるということだ。

この訴訟を契機に、企業とLGBT社員が良い関係を築くために必要なことを、十分に考えなければならないと思った。

サム: LGBTのアライ(支援者)として、Flag編集部で記事執筆。前職において、様々な分野の企業・個人プロフェッショナルの広報業務(メディア露出)を支援。その経験を活かし、LGBTというテーマを、政治、経済、国際情勢、人文科学などの様々な切り口で考察、広報していきたいと考え、日々奮闘中。