「一人ひとりは善き人なのに、その間に埋めがたい溝がある」。日本経済新聞・編集委員の古賀重樹氏は、LGBT支援の状況をこのように分析している。
例えば、老境のゲイカップルの映画「人生は小説よりも奇なり」において、ゲイカップルと親しくしていた友人・知人・家族が、あるライン(ゲイカップルと一緒に住むことなど)に踏み入れると、不寛容になるという事実が描かれている。
これを踏まえて、映画評論家の黒田邦雄氏は、下記のように語っている。
(この映画は)よくある美しいゲイという芸術的視点ではなく、老境に入ろうとするゲイを日常的視点からリアルに描いている。法律が同性婚を認めても、問題はまったく解決していないことがよくわかる(2016/3/7付日本経済新聞 夕刊)
古賀氏によると、今後放映されるLGBT関連の映画で、LGBTを取り巻く状況が分かるという。その映画を一部紹介したい。
・アイラ・サックス監督「人生は小説よりも奇なり」
→ 老境のゲイカップルの物語
・トッド・ヘインズ監督「キャロル」(公開中)
→ パトリシア・ハイスミスの小説の映画化。刊行当時はレズビアンへの風当たりが強かった。
・トム・フーパー監督「リリーのすべて」(18日公開)
→ デンマークの画家の物語。性別適合手術を受けたことがキッカケで、性別違和を題材にする。
(画像は、キャロル公式サイトより)