ミュージカル『RENT』が描くもの

ミュージカル『RENT』が、シアタークリエで7月2日から再演される。原作はジョナサン・ラーソン(Jonathan Larson)が脚本と音楽を手掛けたブロードウェイ・ミュージカルである。トニー賞4部門、ピューリッツァー賞、オービー賞など数々を受賞し、2006年には映画化もされた作品である。秀逸な音楽のみならず、それまで避けられてきたマイノリティにスポットライトを当てた作品として世界的な人気を誇っている。シアタークリエで公演される日本版『RENT』は、今回で5度目の公演となる。

 

舞台はニューヨーク、イーストヴィレッジ。多様な若者たちが、家賃(レント)を滞納しながらも、夢を追い、その中で生まれる出会い、衝突、葛藤、そして別れを通して「愛」にたどり着く物語である。

本作には「マイノリティ」と呼ばれる人物が多く登場するが、それぞれが多様な性的指向や性自認を持っている。ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、そしてドラァグクイーン(パフォーマンスとして女装をしたゲイ;トランスジェンダーとは異なる)などが主要なキャストであることが最大の特徴であろう。

 

出典:TOHO http://www.tohostage.com/rent2017/index.html

 

本作を興味深いものにしているもう一つの特徴は、主人公がストレート(異性愛者)であることだ。初めは他の登場人物を観察するように――彼らをはみ出し者として見る社会の目で――見ていた。しかし、徐々に打ち解けてゆき、気づくとそのコミュニティでは彼が、そして彼の考えがマイノリティに思えてくる。

 

シアタークリエでは2008年より4度公演が行われてきた。性的マイノリティへの理解が比較的浅いと言われる日本でも本作が人気を得ていることは、少しずつではあれど、理解が広まっているということを示しているのかもしれない。

 

勿論、本作はストーリーや人物だけが魅力ではない。音楽、そして”Measure your life in love” “No day but today”といった名台詞も大きな魅力だ。エンターテインメントとしても楽しめるが、考えさせられることも多い作品である。当事者だけでなく、ストレートの方々にこそ一見の価値のあるのかもしれない。

 

出典・関連リンク http://www.tohostage.com/rent2017/index.html

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