知っておきたい「LGB」と「T」の微妙な関係

性的少数者を意味する「LGBT」であるが、「LGB」と「T」には少し正確の異なる事情がある。 「LGBT」を「LGB」と「T」に分けて考えようという「Drop the T」という運動がネット署名サイト「change.org」で起こっている。

 

「問題にしているところがちがう」

なぜこのような運動が起きているのかというと、お互いが抱えている問題点が若干ずれているからだ。

どういうことか。

「LGB」(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル)は性的指向をめぐるアイデンティティの問題で、 「T」(トランスジェンダー)は性自認をめぐるアイデンティティの問題ということだ。

今回声を上げたゲイやレズビアンのメンバーはこうした事情から「LGBTと一言でくくるものではない」と主張している。

当事者内にも賛否両論がある

「Reject ‘Drop the T’」という署名も立てられた。

LGBT当事者なら一度は考えたことがあるだろう。

「LGBとTってなんか問題にしている雰囲気が違う」ということ。

それもそのばず。「Drop the T」の主張のように違うのは明らかである。 「LGB」は好きになる対象で問題に直面しており、 「T」は心と身体の性の不一致で問題に直面している。

しかしだからと言って「T」を排除するようなことはどうなのだろう。 同じ「change.org」にはこれを受けて逆の立場の「Reject ‘Drop the T’」という署名も立てられた。 「LGB」から「T」を落とすのは違う、という主張である。

まとめ

セクシャリティの内部分裂のようにも見える今回の運動であるが、 お互いがお互いを嫌い合っているわけではない。

これは非LGBTの人たちに向けた 「自分たちを正しく知ってもらいたい」という意思の現れである。 性的指向の問題と性自認の問題は細かく見れば全く違う問題である。 しかし大きな視点からみれば共通しているところも多い。

それだけ自分たちのアイデンティティを語るというのは極めて難しい問題なのだ。 それを非LGBTの人たちにも知っておいてもらいたい。

one: LGBTの当事者としてFlag編集部に携わる。LGBTの人生・キャリアに関連した記事を中心に執筆。ご意見・ご連絡はこちらまで:info@rainbowflag.jp