「いつになったらカミングアウトをしよう」
そんな思いになっている方は多いのでは。
「いつかはカミングアウトしたい」と思いながらも、その〈いつか〉はいつ来るのであろうか。
筆者は小中高校時代はカミングアウトには向かないと考えている。
その理由を3つに絞り、まとめてみた。
01.あまりに知識が浸透していないから
巷には「ありのままで自分を出していけばいいんだよ!」という主張の方が多いが、 この時期の「自分を出すこと」へのリスクは想像以上に大きい。
小学生時代の好奇心の強さというのは時にとても残酷である。 もし少しでも言葉遣いが女性的で合ったりすると、からかいの対象になったり、ひどい場合にはいじめに発展する。 からかう側からすればただの好奇心であっても、受け取る側への精神的ダメージは計り知れない。
中学、高校時代は性への興味が強まる時期でもある。 恋愛の話題も増えることだろう。しかしLGBTに関しての話題が上がることはまずない。 カミングアウトしたとしても勘違いが多く、正しく分かってもらえない可能性が高い。 知識が浸透していない段階でのカミングアウトは一か八かの賭けになってしまうことが多い。
02.逃げ場所がないから
実はここが一番カミングアウトをやめておいたほうがいいと思う理由。
カミングアウトは100%成功するわけではない。 間違った伝わり方をしてしまう可能性や話した相手に全く理解がない場合も当然ある。 その時に問題になるのが「アウティング」。 自分の意図しないところで、セクシャリティがバラされて広められてしまうことだ。
こうなった時には学校という極めて閉鎖的な環境はLGBTにとっては地獄になる。 噂はあっという間に広まり、次の日から奇異の目を向けられる。場合によっては嫌がらせに発展する。 高校までは決まったクラスがあり、そのコミュニティからはどうしても逃げられない。 精神的に強い人であってもストレスを多く抱えることになり、勉学どころではなくなる。
こういった状況に陥った時に教師や相談員が解決してくれれば良いが、彼らでさえ知識を持ち合わせていないのが現状だ。 (THE HUFFINGTON POSTのこの記事を参考にして欲しい) クラスという極めて小さな社会から出られないうちは、やめておいても良い。
03.高校時代が終われば最適な時期が来るから
私が一番良いと考える時期は、大学生になった段階、または就職活動時の段階だ。
大学というコミュニティはとても幅が広い。 高校生時代とは180度反対側の世界である。
大学では国籍、人種、年齢、性別などが入り乱れる、まさに多様性を象徴するコミュニティだ。 その中で自分の仲間を見つけ、カミングアウトするのが最も簡単で自分の思いも実現しやすい。 インターカレッジで他大学のコミュニティにも参加できるので自分と同じことを思っている仲間は必ず見つかる。(首都圏の大学にはLGBTコミュニティが沢山ある。) たとえカミングアウトがうまく行かなくても大丈夫。すぐに新しい場所を見つけることができる。
または就職活動のタイミングだ。 自分がLGBTであることを伝え、その理解があるところを見つけてゆけばいい。 社会に出るタイミングで、新しいスタートを切ることも可能だ。
高校時代に一か八かの賭け的なカミングアウトをするのなら 一旦大学進学するまで待っても良いかもしれない。
まとめ
「カミングアウトしない方がいい理由」を上記のように3つ挙げた。勘違いさせないように断っておくが、なにも小中学生に「カミングアウトするな」「今は我慢するんだ」と言っているわけではない。 上記の理由はあくまで筆者の考えに基づいた一例でしかない。
セクシャリティの種類やその度合によって、必ず個人差がある。 言わなければいけない状況に陥る場合もあるかもしれないし、言えると確信できるタイミングもあるだろう。 実際、高校生時代にカミング・アウトした人の話もよく聞く。みんなに理解され、より深い関係性が築けて良かったと語る人が多いのも事実だ。
そのように考えると、今回の内容はかなり悲観的な内容かもしれない。 しかしタイミングが見つからずカミングアウトできないという方も多いはずだ。 そんなタイミングを探している方には参考になるはずである。戦略的にカミングアウトしようと考えている人の助けになれれば嬉しい。