LGBTというテーマについて、2017年度の高校の教科書での掲載が決定された。その一方で、小・中学校での、LGBTに関する教育が行き届いていないことに不満が広がっている。
例えば、毎日新聞(2016年3月18日 夕刊)で、東京都の団体職員である、室井舞花さんの下記の声を載せている。
LGBTが取り上げられることはうれしいが、中高生の中には自分が性的マイノリティーであることに悩み、自殺未遂をしたり不登校になったりする生徒もいる。
本来なら義務教育の段階から取り上げ、偏見や差別の解消につなげてほしい
筆者は、小中学校向けの教科書にLGBTテーマを記述する際には、その内容を慎重に吟味する必要があると考える。義務教育時における学校での勉強内容が、人間の人格・思想形成に大きく影響するからだ。LGBTの存在否定派の意見を色濃く載せた教科書を、小中学生の頃に読んだ場合、大人になっても、LGBTに対して否定的な意見を持ち続ける可能性がある。
もちろん、LGBT当事者と接するうちに肯定派に変わる可能性はあるが、「我々は、見てから定義するのではなく、定義してから見るのである」(ウォルター・リップマン、1889年〜1974年)と言われるように、一度、定義(LGBTへの否定的見解)した固定観念を、払拭するのは難しいと思う。
教科書発行者のスタンスにより、LGBTへの記述内容は異なるべきと思うが、熟考してもらいたいと思う。