LGBTと子どもの関係について、日本経済新聞社が行った早稲田大学の棚村教授のインタビューをご紹介したい。LGBTの当事者が子どもを持つケースが増えてきていることについて記者に問われた棚村教授は下記のように答える。
棚村教授「3つの問題が複雑に絡まっている。1つ目は、同性カップルが大人としてどう法律上の保護を受けるのかという問題。2つ目は、同性カップルが子育てできるのかという問題。3つ目は、生殖補助医療をつかって第三者が関与してできた子どもとの親子関係をどう認めるかという問題だ。3つ目の問題は異性カップルでも課題になっている」
現状、幾つかの自治体で「同性婚」をサポートする仕組みはできつつあるが、法律上の「家族」になったわけではない。それゆえに、異性間結婚ならば保障されているサービスも、同性間の結婚ではサポートされておらず、法律上の保護の対象から漏れ出てしまう。
棚村教授「海外では賛否があっても、様々な議論を経て一歩一歩進んでいっている。それに対して日本では議論するのもタブーという雰囲気がある。同性カップルの大人としての権利をどこまで認めるのかという議論と並行して、実際に生まれてきている子どもの権利をどう守るのかという議論を進める必要がある」
日本での議論が進まないのは、この「タブー視する雰囲気」が原因の一つかもしれない。LGBTの話題は決して触れてはいけない話題ではないし、タブー視されるよう内容でもない。むしろ積極的に議論してもらいたいところだ。
また、生まれてくる子どもの権利について問われ、下記のように答えた。
棚村教授「一つは出自を知る権利がある。自分のルーツがわからないと、子どもは非常に不安定な状態になる。また、今の日本の状況では、例えばゲイカップルが米国で代理出産を利用して子どもをつくり、日本に連れてきたときに親子関係が認められず中ぶらりんになる可能性もある。子どもたちが生まれて良かったというように思える法律や制度をつくっていかなくてはいけない」
日本でも同性カップルの間で子育てを行っている人は少なからずいる。また、これから子どもを持ちたいと思っている同性カップルも多い。棚村教授の言うように、法律を整え、社会全体で支えられる仕組みを形成することが必要だ。
棚村教授の発言は日本経済新聞(2016/4/17 )から引用